──お聞きしているだけでおぞましいです……。DDTではキャンプ場プロレスなど変わった場所での試合がありますが、そちらでは大丈夫でしたか?

あのときは車でひかれそうになっていますからね(笑)。キャンプ場は石や枝があるので選手は終わった後は傷だらけです。選手が打ち合った花火で、僕も髪の毛が燃えています。どんな状況でも、フォールを取るために選手が“レフェリー!”って呼ぶんですよ。だからどんな場所でもカウントを取らないといけないんです

木曽大介さん 撮影/fumufumu news編集部

レスラーから言われて嬉しかった言葉

──レフェリーをしていてよかったと感じたエピソードはありますか?

天龍さん(天龍源一郎。元レスラー、2015年引退)ですね。天龍さんは子どものころから見ていましたから。DDTでは天龍さんの試合のレフェリーは普段、松井さんがされていたのですが、その日はたまたま試合後に移動があってできなかった。それで一生に一度だけ、天龍さんのレフェリーをさせていただきました」

──まさに、感激の瞬間だったのですね。

オーラがすごかったですね。天龍さんはガウンを着て入場するんです。そのガウンから市川海老蔵さんの着物と同じ匂いがしたんですよ! 以前、歌舞伎座の花道に海老蔵さんが来たときに僕が感じた匂いと本当に同じだって気がついたんですよ

──スターの匂いなのかもしれませんね。では、レフェリーとレスラーはどういう関係だと思いますか。

単純に信頼関係がある間柄だと思います。この前、ある選手に“どうしても伝えたいことがある”って言われて絶対に文句だと思ったんです。そうしたら、“いろいろな団体に出るようになって、木曽さんのレフェリーがいちばんやりやすいです”って言われて。嬉しかったですね

  ◇   ◇   ◇  

 謎が多いレフェリーという職業。後編では、いいレフェリーの条件について、レフェリー以外の仕事やDDTの魅力について語っていただきます。

(取材・文/池守りぜね)

〈PROFILE〉
木曽大介(きそ・だいすけ)
1978年1月24日生まれ、石川県金沢市出身。2年間の下積みを経て2010年にレフェリーデビュー。栄養士、ライターの肩書を持ち、元サンビスト、元講師でもある。地方巡業ではリングトラック班として深夜の高速道路を疾走中。

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