いつかは女優として賞を受賞したい

──『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングのコーナーに出演された際(1989年)に、「女優として賞を獲りたい」とおっしゃっていたのが印象的でしたが、今もその気持ちに変わりはないですか?

はい。女優で賞を獲りたいっていうのはずっと変わっていないんですよ。(交通事故の後遺症で)腰が悪くなっちゃったけれど、女優っていう看板は外さないでいようって思っているんです」

──これまでも、なにか受賞されたことはなかったのですか?

今まで何度もいろんな賞にノミネートされているんですよ、『ゴールデン・アロー賞』も2度とか。でもノミネートまではいくけど、受賞はないんです

──最近は、ライブ活動などが活発ですが、今後はどのような活動をしたいという目標はありますか?

歌はね、こんなに長く続けるとは思わなかったからね……。かなり壮絶なリハビリが必要だけれど、腰を治して女優としても復活したいんです。おばあさんにはおばあさんの役があるからね。『紳助のMTVクラブ』(1986〜88年に朝日放送で放送された島田紳助のトーク番組)でも、“女優で賞が欲しい”って言っているんです。その当時、ドラマや映画や舞台にも出ていたけれど、紳助さんは女優の私は知らなくて、私が“だめえ? 50、60になる?”って言ったら、“50、60で獲れたらええけどね”って絶対獲れなそうに言ってたんです(笑)。でも実際60代になっても獲れてませんからね

──『ウンタマギルー』(高嶺剛監督作品・1989年)での演技は、評価が高かった記憶があります。

「あれもね、監督はベルリン国際映画祭などで受賞しているんですよ。私もあの映画で助演女優賞にノミネートされました。自分としては、もっとヘビーな現場があったのに(笑)、普通に演技をしていたらノミネートされたなぁって感じだったけれど。今はもうくれるなら欲しい! って感じです。こんな歳でもまだ思ってるんですよ」

──女優としてどのような役を演じられるのか、これからも楽しみです。

「2018年に久しぶりに舞台(『グッド・デス・バイブレーション考』)に出演したのですが、そのとき50代だったのに、63歳の役柄だったんです。SFで、だんだん子どもになっていくという役でした。これからやるとしたら、おばあさん役とかね。でも実際よりも老けるのは嫌なんです。私が30代のころ、蜷川幸雄さん演出の舞台に出て共演していただいた有馬稲子さんが、かなりお年を召されていたのに、“私ももう28!”っていうセリフを言う役を演じられていましたからね。舞台で、そういう役もいいですね

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 稀有(けう)な才能で時代を駆け抜けた戸川さん。今も変わらず愛らしいたたずまいから繰り出される世界観は、令和の時代にも支持されていくのでしょう。

(取材・文/池守りぜね)

〈PROFILE〉
戸川純(とがわ・じゅん)
子役経験を経て、1980年TVドラマデビュー。1982年、ゲルニカの一員としてレコードデビュー、同年TOTOウォシュレットのCM出演でお茶の間にもインパクトを与える。その後もソロやヤプーズなどのバンド名義で音楽活動を展開、女優としても活躍する。作品に『玉姫様』(1984年)、『好き好き大好き』(1985年)、『昭和享年』(1989年)、自選ベスト3枚組『TOGAWA LEGEND』(2008年)など多数。今年1月、戸川純+山口慎一の名義で『戸川純の童謡唱歌』を一般発売。2019年に芸能活動40周年を迎えた後も、マイペースな活動で後進に影響を与え続けている。

・YouTube「戸川純の人生相談」:https://www.youtube.com/@jun_togawa
■戸川純ライブ情報(全てワンマン)
6月1日(木)札幌cube garden
6月27日(火)福岡Gate’s7
7月20日(木)渋谷PLEASURE PLEASURE