というわけで「Bダッシュ」は確かに世の中に根づいた言葉だったわけですが、そこからまた時代は変化していきます。テレビゲームの特徴のひとつはとにかく進歩が早いことで、本当に物事がすごい勢いで古くなっていくのです。
テレビゲームが進化、「Bダッシュ」ではなくなる
ファミリーコンピュータの次の世代は、1990年に発売されたスーパーファミコン。いろいろな部分が進化したわけですが、コントローラーもまた大きく変化しました。ボタンの数がかなり増えたのです。
それまではAボタン・Bボタンだけでしたが、スーパーファミコンではYボタン・Xボタン・Lボタン・Rボタンが増えました。となると、マリオの操作も少し変わります。
スーパーファミコンと同時に発売された『スーパーマリオワールド』(任天堂株式会社)では、マリオをダッシュさせるときに押すボタンはYボタンになっていました。そう、1990年の時点でもう「Yダッシュ」になっていたのです。
もちろん、「Bダッシュ」という言葉があるので「Yダッシュ」とは呼ばれませんでしたが、実態がなくなってたわけです。こうなるとBボタンによるダッシュを経験していた人はともかく、後の世代の人からすれば意味のわからない言葉になっていくわけですね。
また、テレビゲームが進化していくことでさらなる変化が起こります。テレビゲームはそのうち3Dグラフィックも主流になってくるわけですが、こうなると十字キーではなくアナログスティックでの操作が直感的になってきます。
アナログスティックで操作するタイプのゲームの場合、Bダッシュが採用されることはあまりありません。現在はアナログスティックを押し込むとダッシュ状態になる、などの操作がスタンダードでしょうか。
つまり、Bダッシュは『スーパーマリオブラザーズ』のような2Dアクションゲームではいまでも存在するのですが、ゲーム機が変わっていったり、ゲームのジャンルが増えていったことにより、常識ではなくなっていったのです。