あくまで物語ありき、自分のカラーを明示しない映像作り

『美しい彼』をはじめ、多くの作品で映像美をファンや演者から評価されてきた酒井監督だが、美麗な映像作りにたけている自負はない。それよりもアーティストや物語に寄り添い、素直に魅力を感じ取ることを大切にしてきた。

 「高校生のころに芸大受験の予備校に通っていたことがあり、そこで“自分の色は、自分で出そうとするものではない。勝手に出るものだ”と教わり、その言葉が常に胸の中にあります。

 なので、映画やドラマの場合は物語、MVの場合はアーティストとその楽曲をいちばん大切にし、それをどのように表現したらいいのかを考えています。素直に真摯(しんし)に向き合うということと、本能的にワクワク感じるということを大切にしています」

酒井麻衣さん 撮影/松島豊