ネットでは好評の万太郎の台詞だけど……

 最初は万太郎。障子越しの祖母に、切々と語った。峰屋に「おのこ」として生まれたことが苦しかった、おかげでぬくぬくと守られてきたが、酒を一滴も飲めない自分は他人が働くのを見るばかり、なぜ当主なのかと苦しかった。だが、自分には「才」がある。植物が好き、本が好き、植物の絵を描くのも好き。それも峰屋という環境あってのこと。「おばあちゃん、みんなが、お日さんみたいにわしを育ててくれた。ほんじゃき、わしは何者かになりたいがよ」。

 23話終了後、「万太郎の長台詞にネット号泣」という記事を読んだ。「涙が止まらない」などの感想が並んだそうだ。私はというと、分析していた。当主だということ(=男性性)が自分の道を選ぶ足かせになっている。万太郎のその悩みは、近頃のジェンダー意識を十分に踏まえていた。そして万太郎は「好き」を「才」だと語る。何が得意かでなく、何が好きか。好きこそ才能。それを究めましょう。これも昨今の女性に寄り添う提案に思える。ふたつ合わせて、「これは女性の、あなたの話ですよ」。そんな狙いが見えすぎて、ちょっと白ける。