現代に通じる問いを含む、綾の感動的な長台詞
綾の長台詞は違った。「万太郎の苦しみ」を「男性だから苦しい」ととらえ、それは「
小さいころから酒造りが好きだった。男に生まれなかった自分を何度も恨んだ。女は穢れているから、蔵に入るな。自分ではどうにもならないことで、なぜだろうと苦しかった。そしてこう続けた。「この世に男と女がおって、どういて女ばかりが、そう言われんといかんじゃろう」。さらに「この先、未来永劫、女は穢れちゅう、立ち入ったらいかんと言われ続けるがか」と問いかけた。
やや頭で考えたような台詞ではあった。が、今に続く問いであることも確かだ。そんなことを思っていると、「私は綾さまについていきますき」と最後列から1人の女中が叫んだ。「綾さまの酒好きは、ようわかっちょりますき」と隣の女中も続いた。シスターフッドだった。泣けた。