雅号「雨楽」の意味

──雅号「雨楽」の由来を教えてください。

 雨の日も楽しむ。雨の日こそ気楽に、です。

 私、雨は嫌いじゃなくて。雨の日って、なんだか許されるような気持ちになったことありませんか? 今日は無理しなくていいじゃん。雨なんだからさ。みたいな。雨が許してくれる。寄り添ってくれる。洗い流してくれる。楽にしてくれる。そんな理由で「雨楽」なんです。

「幸せの花」(作/雨楽)
「福と為す」(作/雨楽)
「協和」〜心かさねて〜(作/雨楽)
「強く儚い者たち」(作/雨楽)

──書家になってみて改めて書道のいちばん好きなところはどこですか。

「一発勝負で嘘がないところ」です。

 躊躇(ちゅうちょ)すると字もブレますし、二度書きも見る人が見ればすぐにバレます。

 書けないときは全く書けなかったりしますが、自分のテンションが如実に現れるのも面白いところですよね。

──文字は人を表すって言いますしね。

 そうですよね。特に書道は、何千本もの毛束で文字を書くわけじゃないですか。それって、毛が一本脱線するだけでガラッと変わってしまう。とても繊細な世界なので、心が写し出されるのだと思います。

 私は曲線を描くのが大好きな曲線オタクで、うねうねとした文字ばかり書いているので、タコのような女かもしれません(笑)。普段は愉快なおじさんみたいなキャラですが(笑)。

忍野さら 撮影/吉岡竜紀