竹雄の愛の告白に、峰屋を背負う綾は──

 始まりは、綾(佐久間由衣)が酒造組合を作ろうと思い立ったことだ。税金、闇の酒、それへの対策として提案するが、他の酒蔵からは相手にされない。峰屋が「殿様商売」をしてきたこと、当主が女性であること。それが原因だとはっきり言われる。帰り道、綾は竹雄に、自分は峰屋の将来を閉ざす「呪い」だと言い、こう続けた。「のう、竹雄。夫婦(めおと)になろうか」。

 竹雄は「嫌じゃき」と返す。欲しくてたまらない言葉だが、今の綾さまからは欲しくない、と。ならどうすればいいのだと問う綾に、竹雄はよそを出し抜いて闇の酒を作ってはどうかと提案する。「嫌じゃ」と、今度は綾が言う。誇りがある、と。竹雄は「誇りじゃ、生き延びていけんき」と言い、「ほんなら、のう。滅ぶがやったら、滅んだらええ」と言う。

 東京から戻り、峰屋の経営の厳しさを見てとった。そのうえで、綾へ愛を告白する。あなたは呪いではない、祝いだ、あなたこそ峰屋の祝いの女神だ。だから、「峰乃月はうまい、うまい」と笑っていたら、それが「最上の寿ぎ」だ、と。行けるところまで、あなたと行く。行けるところまでしか行けないから、思うように進め。そんな、哀愁を帯びた告白に聞こえた

 綾は、「そんなが、ただの飲んだくれじゃ」と混ぜ返す。「そうじゃ、飲んだくれの女神じゃ。わしはそういう女神さまに欲しがられたいがじゃ」と竹雄。「竹雄、めんどくさいき」と綾。綾は竹雄ほど悲観的になってない気もする。それはよいことなのか、どうなのか。そんなふうに見ていると、綾が竹雄の手に手を重ねた。見つめ合う二人。綾が唇を近づけていく……。