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ドラマ・映画・舞台

【朝ドラ『らんまん』ここが気になる#26】『らんまん』は万太郎という「古い酒」寄りの男を「新しい皮袋」に盛るドラマだった

SNSでの感想
『らんまん』で万太郎・寿恵子夫妻を演じる神木隆之介と浜辺美波
目次
  • 視聴者に通じた『らんまん』スタッフの熱意
  • 一生に一度の「本当の意味が宿る言葉」

 『らんまん』最終週、万太郎(神木隆之介)は寿恵子(浜辺美波)に、「愛しちゅう」「愛しちゅう」と繰り返していた。終盤、「植物が好きすぎる男」から「植物と妻をひたすら愛する男」に急カーブを切った万太郎。その総仕上げが「スエコザサ」の命名で、満を持して最終話で描かれた。そして寿恵子亡き後も、植物採集の現場にはいつも寿恵子が──。破綻(はたん)のない大団円だった。

 「ありがち」を排した終わり方でもあった。関東大震災後、東京郊外の大泉村に土地を買った寿恵子。「すごいのー、寿恵ちゃん」という万太郎の言葉から主題歌が入り、次は万太郎の死後になっていた。「槙野植物標本館」と看板のかかった建物が映る。標本の整理をしているのはバツイチだという娘の千鶴。演じるのは松坂慶子さんだった。

 ヒロインの幼年期を演じた子役が終盤に再登場、娘や孫を演じるというパターンは見たことがあるが、祖母役→娘役は初めて見た。標本の手伝いをすることになるのは、ナレーション役の宮﨑あおいさん。2人のやりとりは2話にわたり、東京大空襲もくぐり抜けた標本を後世に伝えるという“志”が浮かんだ。

『らんまん』最終週に登場した“篤姫コンビ”の松坂慶子と宮﨑あおい

 ほかにもサプライズはいろいろあったが、十徳長屋の文学青年・堀井(山脇辰哉)が坪内逍遥になっていたのは、なんだか嬉しかった。シェークスピア全集を完成させ、届けに来たら図鑑の編集作業に駆り出される。「むしろ全力で祝われにきたのに」と嘆く様子が若き日のまま。振り返ると堀井は、遊女を身請けするといって長屋を出ていった。坪内の史実と照らし合わせ、最初から坪内だったのね、と感心する。

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