人間とともに社会で生きる猫たちの姿を、一歩一歩あゆむように伝える新連載「猫の道フミフミ」。第1回は筆者がコロナ後、初めての海外撮影に出かけた台湾の猫たちを紹介します。
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台湾といえば猫ですね。本当に猫好きな人々が多く、猫だらけの村「ホウトン」は日本でも有名です。私も写真を撮りに今まで何度も台湾を訪れています。ただ、コロナ後初めての海外は多くの不安がありました。今回の旅行は2023年1月。渡航情報を省庁に登録するなどの手続きや、ワクチン接種証明書の用意、また円安なので、旅の期待感はイマイチ上がりません。でも、台湾に着いてみると、すべて杞憂(きゆう)に終わりました。猫たちの歓迎を受けて大満足の旅でした。
人懐っこい猫たちがおもてなし
おもてなしをしてくれたのは台湾の猫カフェ「小春日和」の猫たち。以前から評判になっている店で長毛の猫、妃麗ちゃんはずっと相席をしてくれたし、他の5匹の猫たちもオシャレ空間でまったりです。映えを目指すお客にはとてもありがたいシチュエーションです。夢中になって時がたつのを忘れてしまいそうですが、この店は多少の長居は大丈夫。正確に言うと、この「小春日和」は日本でいうところの猫カフェではありません。《動物雑貨 珈琲》と看板にあるとおり、犬や猫と入れるカフェが本来の形。なので、もっと滞在したければ、もう1品注文すればいいのです。
お店は先に席を決め、カウンターで注文するスタイルです。メニューに記載のミニマムチャージ(最低料金)以上なら何を頼んでもOK。ドリンクからプレートランチやスイーツまで、メニューは豊富。ちなみに日本語表記もあり、さらに日本語が堪能なスタッフもいて安心です。あまりに日本語が上手なので聞いてみたら日本好きが高じて何度も訪日しているとのことでした。
台湾の人々と猫の優しさにあらためて感激
他のスタッフも優しい対応。いい写真が撮れるよう、乾燥猫草で店内に散っている猫たちを集めてくれました。マタタビ効果があるのか、猫たちがごろごろ転がりだして、楽しいショットが撮れました。何度か訪れて感じることですが、台湾では、何度も人々の優しさにふれてきました。新幹線(台湾の)で席を譲ってもらったり、相乗りタクシーに誘ってくれて料金を出していただいたりした経験も。「小春日和」の猫たちはとても人懐こくおもてなしをしてくれる猫たちです。台湾の人々の優しさと同じですね。ぜひ、猫たちに会いに台湾を訪れてみてください。物価は日本より安く感じました。
住所:台北市松山區延壽街361號
営業時間:11:00〜21:00
定休日:水曜日
《執筆者プロフィール》
南幅俊輔(みなみはば・しゅんすけ) 盛岡市生まれ。グラフィックデザイナー&写真家。デザイン事務所コイル代表。現在、デザイン以外にも撮影、編集、執筆を手がける。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材・撮影を行っている。著書に『ソトネコJAPAN』(洋泉社)、『ワル猫カレンダー』『ワル猫だもの』(マガジン・マガジン)、『踊るハシビロコウ』(ライブ・パブリッシング)、『ハシビロコウカレンダー』『ハシビロコウのふたば』(辰巳出版)など。企画・デザインでは、『美しすぎるネコ科図鑑』(小学館)、『ねこ検定』(ライブ・パブリッシング)『ハシビロコウのすべて』『ゴリラのすべて』(廣済堂出版)などがある。