「寝ているときに働いて、起きているときは働かないものってな~に?」
この「な~に?」の憎たらしいこと。おまえにこの問題が解けるのかい? って感じじゃない? 考えすぎ? 違う? じゃあな~に?
クイズ番組のイライラポイント、恥ずかしポイントあれこれ
テレビのクイズ番組、イライラするよね。いつからあんなに難しくなったの? リーマン予想かってくらい難しいよね。さらに、その難問クイズを、問題も全部読み終わらないうちに答えるナルシス、の人たちね。人の言うことは最後まで聞けって教わらなかったのかな。問題を最後まで聞けないって、見ていてストレスだよね。先に答えを知って、あとから問題をすべて聞くという流れの繰り返しにイライラするのよ。ま、ちゃんと問題を聞いたあとでもわからないんだけどね。そこはいいじゃない、言わせてよ。
たまにボタン押したあとに考えているズルい人もいるよね。「とりあえず、いちばんにボタン押しとこ」って、百人一首ばりに手が横に流れてるよね。ひぐちカッター状態。あと、ベテラン俳優さんとかがクイズ番組に出てまったく答えられないと、「いや~、家で見ているのとここじゃあ全然違いますね~」って言い訳するよね。
そのベテランさんじゃないけど、「え! こんなことも知らないの?」って、番組に出といてマイナスになるときあるからね。クイズの正解・不正解もそうだけど、意外と大変なのがパネルに答えを書くときの漢字ね。まー出てこない。しかも、簡単な漢字に限って出てこない。自分は以前、とある番組に出演したとき「根性」って漢字が出てこなかった。見ると、どうってことない字なんだけどね。
焦れば焦るほど、あの短いシンキングタイムで、クイズの答えよりも漢字で悩んでいる時間のほうが長いんじゃないかと思うくらい。漢字が書けないのが嫌で答えを変えることもある。そのときは仕方なく平仮名で「こんじょう」って書いたんだけど、バカっぽくて恥ずかしかった。しかも答えも間違ってたし。そんなとこで戦っているの、たぶん僕だけじゃないと思う。
逆に、せっかくカッコつけて漢字を書いたにもかかわらず、その漢字が間違っているときもある。例えば、「拝」の横棒が一本足りないとか、「完璧」の璧の字の下が玉でなく土になっていたとか、目ざといタレントが見つけて不正解になることもある。背伸びして賢いふりをしたぶん、それはそれで恥ずかしい。こういうことを思い出した時点で恥ずかしい。頭の中で「ああああ!」って言いたくなる。
子どものころ人気だったクイズ番組、軒並み「見ていて怖かった」
昔よく見ていたクイズ番組の話をしようかな。まず、視聴者参加型の「アップダウンクイズ」(毎日放送制作/TBS系ほか)。回答者がちっちゃい正方形の、追い炊きできる浴槽みたいなゴンドラに入り、正解するごとに上にあがっていくやつ。子ども心に落ちやしないかと、見ていて怖かった。確か10問正解すると、移動式階段が出てきてビートルズみたいに降りてくるんだよね。
1分間に12問、5秒ごとに次々と出てくるクイズの正解数を競う「クイズタイムショック」(テレビ朝日系)も5秒中、問題の読み上げに4秒使ってて「答える時間ないだろ」ってツッコんだり、「今、(12問中)何問目?」っていうサービス問題がそろそろ出るとわかっていたのに、実際出ると「なんで今なんだよ!」ってテレビの前であたふたしたりしちゃうんだよね。正解数が3問以下だと椅子がクルクル回りながら落ちるんだけど、「信用して大丈夫? 壊れない?」って、見ていて怖かった。なんか怖いイメージが多いな。
あと、番組名は忘れちゃったけど、間違えるとすべり台が上がって、みんな手足をプルプルさせながら落ちないように抵抗するシーンがあったんだけど、そのすべり台の角度のえげつなさが見ていて怖かったな。
出場者がクイズに正解するであろう人物に自分の持ち点を賭けて得点を増やしていく「クイズダービー」(TBS系)は子どものころ、オッズの意味もわからなかったし、司会者の「倍率ドン! さらに倍!!」のかけ声で数字が目まぐるしく動いて、よく理解できてなかったかな。解答者の中に正解率が高い「はらたいら」という漫画家がいて、「はらたいらさんに3000点」っていうコールが流行(はや)ったが、例えば「赤の服が似合うはらたいらさんに3000点」とか、あからさまなお世辞を言ってから賭けてる人を見て、必死だなって見ていて怖かった。
4人の解答者が4色のパネルを取りあう「パネルクイズ アタック25」(テレビ朝日系)を白黒テレビで見てどうすんだ、なんてギャグを昔よく聞いたけど、本当にいたんだよね。「うちは貧乏だからすき焼きの肉がソーセージだった」って話も、うそだと思うかもしれないけど、結構そんな家庭あったからね。壊れるまでカラーテレビに買い替えない家があって、何も言わずアタック25を見ているさまが、見ていて怖かった。オセロのようにパネルを何枚取ったかなんてどうでもいい、純粋にクイズだけを楽しんでいたのだろうね。
つぶやき流「クイズ論」とは、そして冒頭のなぞなぞの答えは!?
僕は基本、クイズ番組は誰が出ているとかよりクイズがメイン。クイズがやりたい。問題が出て正解を知るまでの間に、タレントの珍解答はいらない派だ。早く答えが知りたいのと、それっぽい答えを聞きたくないからだ。
「なぜでしょう?」みたいな問題が出て、タレントが言った答えで「なるほど! それが正解だな」と思ったのに間違いだったとき、先に聞いた間違っている答えの印象が強すぎて、本当の正解が覚えられず、のちに「あ、これどっちが正解だっけな?」ってなる。結局、知識として身についていないのが嫌なのだ。だから、録画してタレント部分は早送り。ちゃんとした正解だけを知りたいから。でも、アハ体験ができる問題を早送りすると、全然面白くないから気をつけてね。それか、「わからないからもう1回」って早戻ししているときにわかっちゃうから気をつけてね。
あ、そうだ、冒頭のクイズっていうかなぞなぞ、「寝ているときに働いて、起きているときは働かないものってな~に?」の答えは、踏切の遮断機。寝ている? 横にはなっているけど、それを寝ていると表現するのはどうなの? 同様、起きているでなく、縦になっている、のほうがいいと思う。つまり「横になっているときに働いて、縦になっているときは働かないものってな~に?」じゃない? って、子どものころに出されたなぞなぞの変なミスリードにずっと違和感を持っていたから覚えていたんだよね。そんなこと言いだしたら、なぞなぞなんてそういうもんだけどね。
あと、もうひとつ。見出しの絵、なんだかわかった? 正解は「脳内エステ IQサプリ」(フジテレビ系)の『モヤッとボール』ね。あの緑のボール欲しかったよね。指にかかってオリックスの星野(伸之)なみにすごいカーブ投げれそうだもんね。なお、金平糖でも正解とします。
(文/つぶやきシロー)
【PROFILE】
つぶやきシロー ◎1971年3月10日、栃木県生まれ。お笑いタレントや俳優として活動するかたわら、2011年からは小説も執筆。2021年には、著書『私はいったい、何と闘っているのか』(小学館刊)が安田顕主演で映画化された。2022年4月、新著『こんな人いるよねぇ~──本を読んでつぶやいた』(自由国民社刊)を上梓。また、2009年から公式Twitterでほぼ毎日「あるあるネタ」をつぶやき続けて大人気に。フォロワー数は99万3000人を超える。(2022年7月現在)
公式Twitter→@shiro_tsubuyaki