第1回で展開した紅組の予想(【紅白歌合戦ガチ予想・紅組】初出場枠が混戦も、上白石萌音やAKB48に期待大!)だけでも、特にボーダーラインで大きくぶれてしまったが、続いて白組についても、予想歴20年超の紅白ウォッチャー第一人者・カーシー、ボーイズグループをはじめ各方面に詳しい音楽ライター・新亜希子、ヒットチャートからの詳細分析に定評がある臼井孝の三者ががっつり語る。(聞き手/ミュージックソムリエ協会・高安紗やか)
※(初)は初出場、(再)は再出場、それ以外は連続出場での予想。
10/11時点の予想であり、10/17に発表された五木ひろし不出場は考慮されていない。
カーシー 予想:
五木ひろし/Official髭男dism/関ジャニ∞/Kis-My-Ft2/King & Prince/Creepy Nuts(初)/郷ひろみ/純烈/STUTS(初)/SixTONES/Snow Man(初)/DISH//(初)/BUMP OF CHICKEN(再)/氷川きよし/福山雅治/Hey!Say!JUMP/星野源/三山ひろし/山内惠介/山崎育三郎(初)/優里(初)/ゆず
新亜希子 予想:
五木ひろし/Official髭男dism/川崎鷹也(初)/関ジャニ∞/Kis-My-Ft2/King & Prince/郷ひろみ/GENERATIONS/ジャニーズWEST(初)/純烈/SixTONES/Snow Man(初)/氷川きよし/福山雅治/Hey!Say!JUMP/星野源/松平健(再)/三山ひろし/山内惠介/山崎育三郎(IMYとしての可能性も)(初)/優里(初)/ゆず
臼井孝 予想:
五木ひろし/EXILE(再)/Official髭男dism/川崎鷹也(初)/関ジャニ∞/Kis-My-Ft2/King & Prince/郷ひろみ/真田ナオキ(初)/純烈/SixTONES/Snow Man(初)/なにわ男子(初)/BUMP OF CHICKEN(再)/氷川きよし/福山雅治/藤井風(初)/Hey!Say!JUMP/星野源/山内惠介/山崎育三郎(初)/優里(初)
氷川きよしは紅白の“平和的な象徴”
──白組では、五木ひろし、Official髭男dism、関ジャニ∞、Kis-My-Ft2、King&Prince、郷ひろみ、純烈、Snow Man、氷川きよし、福山雅治、Hey!Say!JUMP、星野源、山内惠介、山崎育三郎、優里と、紅組と同じく15組の予想が三者一致していますね。
臼井(以下、「臼」):僕は、藤井風さんで大勝負に出てもらいたいです。紅白は以前から、SuchmosやKing Gnuなど、若手のハイセンスなアーティストを1~2組選ぶ傾向があるので、藤井風さんを予想しました。今年はNHKのスペシャル番組や民放の報道番組にも出演しているので、可能性はゼロではないと思います。もし出場すれば、2000年に初出場した平井堅さんのように、彼のことを知らない年上の女性たちがメロメロになるんじゃないでしょうか(笑)。
そして、EXILEが20周年なので、3年ぶりに紅白に復活するんじゃないかと予想しました。毎年、LDH事務所に所属するグループは最低1組出ているので、三代目J Soul BrothersやGENERATIONS、THE RAMPAGEなどをまとめて、EXILE TRIBEとして出れば、弟分のファンも満足いくんじゃないですかね。
新:私はあらためて今、氷川きよしさんに注目ですね。いろいろな意味において、紅白の平和的な象徴という気がします。新しいアーティストのあり方を模索しつつ、でも、しっかりと音楽の道を続けていらっしゃるので、紅白をはじめとして、さまざまな可能性を秘めている方だと思いますね。松平健さんは、特別枠でもいいので、今年見てみたいという私のミーハー的な希望です!(笑)
臼:あと、常連の中から誰が“勇退”するかどうかにも注目しています。
カーシー(以下「カ」):いちばん可能性があるのが、昨年50回目だった五木ひろしさんですね。前半戦のトリの演出は、あたかもNHKスタッフが五木さんの卒業を促しているようにも見えました。
(注:実際、この予想の6日後、五木ひろしの不出場が決まった)
初出場枠は川崎鷹也やCreepy Nutsにも期待が
──では、白組の初出場組を見てみましょうか。優里さん、山崎育三郎さんは全員一致ですね。
臼:優里さんは『ドライフラワー』が今年イチのストリーミングヒットなので、間違いないでしょう。あと、山崎育三郎さんは、スポーツ新聞でいちばん乗りの内定報道が出ましたよね(笑)。
新:私は、IMY(アイマイ)名義で、山崎育三郎×尾上松也×城田優のお三方が出れば面白いなと。コロナ禍で劇場から遠ざかっているぶん、ミュージカルの曲を歌うのもいいですよね。そして、川崎鷹也さんは、取材した際、紅白出場をアーティストの最高峰くらいにとらえていらしたので、あれだけのヒット曲なら出場の可能性は高いですよね。
臼:川崎さんは、ズバリ瑛人の『香水』枠で出てほしいですね。Tik Tokから流行した楽曲ですが、若者だけではなく、上の年代の方も共感しやすいバラードだと思います。
カ:僕はCreepy Nutsを推しています。最新アルバム『Case』 がオリコン週間3位のヒットで、DJ松永さんもオリンピックの開会式に出たので注目度は高まっていると思います。ただ、個人的にはback numberと彼らのどちらにするか迷っています(笑)。今、ストリーミングがかなり伸びていて、バンド系ではトップクラスなんですよね。しかも、ここへきてテレビ出演にも積極的ですから。
臼:三山ひろしさんは安定の実力派なんですが、正直、けん玉演出はもういいかなと思っています。あれだと、三山さんの歌が頭に入らない……。となると、今CDシングルが確実に売れて、昨年、日本レコード大賞最優秀新人賞にも輝いた真田ナオキさんに期待がかかります。まだ彼のことをよく知らない人も多いでしょうが、あのしゃがれ声のインパクトは絶大! ああいった個性の強い歌手を1人は入れてほしいですね。同じテイチクエンタテインメント所属のメンバーでは、彼か、歌怪獣と呼ばれる島津亜矢さん、あるいは、還暦をすぎても歌声に深みを増す岩崎宏美さんなど実力派を出してほしいところです。
ジャニーズに対抗できるボーイズグループは!?
──今、シーンが熱くなっているボーイズグループについても語ってもらいましょう。まずジャニーズからは、前年にメンバーのコロナ感染によって出場を辞退したSnow Manの初出場が全員一致ですね。
臼:今年は待望の1stアルバムが、オリジナル作の中では2021年の最大のヒットになりそうなので、初出場ながらNHKもメドレーなどで大きな扱いをするのではないでしょうか。
それと、今さらと言われるかもしれませんが、KinKi Kidsをまた出してほしいですね。タレントパワーランキングの『パワースコア』という指標があって、これは、一般の方による「名前を知っている」と「見たい、聞きたい」のアンケート結果をかけ合わせた数値なのですが、10代・20代なら、確かにKing&PrinceやSnow Manなどの若手が上位に。ですが、10代から60代までという、まさに紅白向きの幅広い年齢層で見ると、ジャニーズの中では、嵐やTOKIOを除いたらKinKi Kidsがダントツなんですよ。NHKには、この事実をちゃんと考えてもらいたいですね。
新:KinKi Kidsは20周年の前年に初出場したので、今回こそ25周年となる来年に期待しています。私は、活動休止中の嵐が抜けるぶん、ジャニーズWESTを入れました。彼らは、昨年くらいから「音楽をやるぞ!」という意気込みと実力が世間にも少しずつ浸透してきました。今年はデビュー7周年で、セールスも徐々に右肩上がり。出るなら今年ではないでしょうか。
臼:僕も、ジャニーズWESTの成長には目を見張っていますが、最終予想では、11月デビューの、なにわ男子を選びました。デビュー前から大型特番への出演が多いなど、ジャニーズ事務所の期待がハンパないですよね。
カ:いっそのこと、ジャニーズWESTとなにわ男子で関西ジャニーズ1枠を作るという手もありではないですか? なにわ男子は前回、関ジャニ∞のバックに出ていましたが、先輩のWESTも出してあげたいですし……。決してアンチではないのですが、昨年は白組21組の3分の1にあたる7組がジャニーズ枠だったので、これ以上増えるのはどうかなと思います……。
新:そのとおりなんですが、関ジャニ∞、Kis-My-Ft2、ジャニーズWEST、Sexy Zone、Hey!Say!JUMPは、CDセールスが25万枚前後とほぼ横並びなので、誰を出すか出さないか悩みどころですよね。私の予想では、Sexy Zoneを苦渋の決断で入れませんでした。
臼:マリウス葉さんが復帰されるなど、タイミングが重要かもしれませんね。
──そのほかのボーイズグループはどうですか。
新:JO1はCDセールスや受賞歴で見ればしっかり結果を残していますが、それと同時に、誰もが知るヒット曲が自分たちにないことも自覚しています。もちろん「11人で出たい」という思いは強いと思いますが、今、彼らが出る意味は大きい。
JO1以降、ボーイズグループのすそ野が確実に広がりましたよね。ライバル同士で高め合いシーンを盛り上げたいという意識を持っていますし、ファンがTwitterなどSNSに強いので、ボーイズグループのなかではもっとも「紅白、盛り上がってるぞ」というアピールができる、広告塔になれる存在ではないかと思います。また、地方出身メンバーばかりで、なかなか帰省もできない状況下ですから、「NHKさん出してあげて」という気持ちも正直あります(笑)。
臼:僕は、候補には挙げていませんが、SKY-HIさんプロデュースのBE:FIRSTがイチオシですね。彼らは普段はどこにでもいるような男子なのに、歌ったり踊ったりすると突然、超絶ハイスペックになるので、まさに紅白受けすると思います。
新: 彼らは、YouTubeのチャンネル登録者数に比べて、再生回数がケタ違いに大きい。それだけコアファン以外も興味を持って、注目しているように思いますね。
臼:11月のデビューシングルが驚異的なセールスになれば、番狂わせもあるかもしれませんね! ハイトーンとタフなボーカルのインパクトから、5人組のDa-iCEも出れば、配信チャートでミラクルが起きそう。
カ:僕は、DISH//の初出場を予想しました。『猫』がロングヒット中ですが、大ヒットの翌年に出場したDAOKO『打上花火』のパターンか、ヒットし続けたのに出場を逃した秦基博『ひまわりの約束』パターンのどちらになるのか。ビルボードジャパンの部門別順位でも、カラオケ部門で常にTOP10入りしていますし、もし、このままジャニーズ寡占(かせん)が続くと、逆にジャニーズのアンチが増えて、コアファンも困るんじゃないでしょうか。その意味でも、DISH//の出場は意義があります。
──今後、ほかのボーイズグループがどれだけジャニーズ枠を攻め込めるかが焦点となりそうですね。
(構成・文/人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)
【特別枠や企画枠、さらには演出面についても語り尽くした第3弾は10/23(土)の19時に公開致します!】
◎カーシー:自他ともに認めるトップクラスの紅白マニア。第14回以降、映像に残っている回はすべて視聴し、予想歴は20年以上。ミュージックソムリエの資格を持つ。自身のブログでも紅白や音楽について綴っている(https://kerseemusic.com/)。
◎新亜希子:アイドルほかエンタメ全般に詳しく、数々の媒体で執筆する音楽ライター。特に、ボーイズグループへの思い入れと知識量はピカ一。
◎臼井孝:昭和歌謡から最新邦楽、中でもカバー曲や大人音楽の普及を生業とする音楽マーケッター。詳細なデータに基づいたヒットチャートの分析力には定評がある。
◎高安紗やか:NPO法人ミュージックソムリエ協会 、CDショップ大賞事務局、ミュージックソムリエ講座、イベント運営など多岐にわたって活動。