日本人の伝統的な年末年始の過ごし方といえば、紅白歌合戦、除夜の鐘、年越しそば、初詣、お年玉、おせち料理にお雑煮などでしょうか(今では、そんな過ごし方をする人も減ったことと思いますけど……)。
ところ変われば品変わる……ではありませんが、年末年始の過ごし方は国によってそれぞれ。今回は、そんな世界の年越しから、ちょっと面白いもの10選です。
年越しは、除夜の鐘とブドウの早食い勝負!?
【中国】大人でもお年玉オーケー
中国のお正月(春節)は旧暦(太陰暦)で祝うので、西暦の1月1日ではなく1月下旬から2月(毎年移動)です。毎年この時期は、多くの国民が休暇を取り、帰郷や海外旅行など民族大移動が行われます。
年越しには、日本の紅白歌合戦のような『春節連歓晩会(しゅんせつれんかんばんかい)』(CCTV)という、国民的なカウントダウンイベント番組が放送され、家族そろってギョーザを食べるのが中華式年末年始の過ごし方。なお、赤い袋に入れて渡されたお年玉は、独身であれば大人でももらえるのだとか。
【タイ】他人に水をかける
タイで有名なのは旧正月の4月に行われる“ソンクラーン”というお祭り。これは町で出会った見ず知らずの者同士が、水をかけ合うというもの。水をかけるのには“敬意をもって相手の身を清める”という意味があります。
【スペイン】鐘の音に合わせてブドウの早食い
スペインでは年越しの際、除夜の鐘のように、マドリードにあるプエルタ・デル・ソル広場の時計の鐘の音がテレビ中継されます。約3秒ごとに12回鳴る鐘の音に合わせ、12粒のブドウを食べきると“幸せになれる”との言い伝えがあり、年末になると、皮をむいて食べやすくした12粒のブドウの缶詰が売り出されます。
【アメリカ】近くにいる人とキスしていい?
アメリカのカウントダウンパーティーで、年が明けた瞬間にみんなが一斉にキスやハグをしている場面を見たことがありませんか。あれは単に喜んでいるだけでなく、“年が明けたとき、側にいる人とハグやキスをすると、その年をハッピーに過ごせる”と言われているからなのです。年明けの瞬間、近くに嫌いな人がいないようにしなければ……。
【ブラジル】ザクロを7つ食べる
ブラジルでは、“平和と幸運の色”とされる白色の服を着て、大みそかから新年にかけて大騒ぎをして過ごします。コパカバーナ海岸で大規模な花火大会も開かれて、まさにお祭り騒ぎ。また、“年越しにザクロの実を7つ食べて、その種を財布に入れると金運が上がる”と言われています。
まだまだある、一風変わった世界のお正月
【インドネシア】お正月が年に4回!
多数の民族がいるインドネシアでは、日本と同じ西暦(グレゴリオ暦)のお正月のほかに、中国と同じ太陰暦、イスラム暦、そして自国の暦と、年に4回もお正月があります。ちょっとうらやましい……。
【イタリア】真っ赤な下着を贈り合う
イタリアでは“大みそかの入浴後、赤い下着を身につけて年を越すと、新年がよい年になる”と言われています。そのため年末になると、友人同士や恋人同士が赤い下着をプレゼントし合います。
【チリ】黄色いパンツをはき直す
チリでは、“大みそかに黄色い(下着の)パンツを裏と表の逆にはき、年が明けた瞬間、表にはき直すと幸せになる”と言われています。“新たな年は新たな気持ちで!”というイメージでしょうか。
【エクアドル】人形を燃やす
エクアドルでは、年末に『モニゴテ』と呼ばれるハリボテの人形を用意します。そして、大みそかに、それを踏んだり蹴ったりして痛めつけ、年明けに燃やして厄落としをします。旧年の厄を全部、人形に背負ってもらい燃やしてしまうのですね。
【デンマーク】玄関にお皿を投げつけて割る!
デンマークでは、“大みそかにご近所や友人宅の玄関にお皿を投げつけて割る”という習慣があります。もちろん嫌がらせではなく、お皿を割られた家は“幸運と人脈に恵まれる”と言われています。新年に玄関でたくさんのお皿が割れているのは“友達が多い証明”でもあるのです。
また、“年が明けた瞬間、空中にいると幸運になる”と言われていて、年明けの瞬間にイスからジャンプして新年を迎える人も多いのだそうです。
世界の年末年始の過ごし方、いかがでしたか? 新年の迎え方も、いろいろあるもの。年末年始の過ごし方は国によって異なりますが、“新しい年をよい1年にしたい”という思いは世界共通です。
2023年はうさぎ年。
うさぎは、耳が長くて聴覚が発達。そして後ろ足が長いので、上り坂は得意ですが、下り坂は苦手なのだとか。それにあやかって、周りの声に耳を傾けて、上り調子の1年になることを祈念します!
(文/西沢泰生)