かつて、“憧れの高校生活”として見ていた恋愛ドラマ。学生を終えたいま見返すと、まったく違う感想が生まれることってありませんか?
私は最近、Netflixで配信されている『君に届け』に夢中になっています。正直なところ、“黒沼爽子は多部(未華子)ちゃん、風早翔太は(三浦)春馬くん”で育った世代なので、あまり期待はしていなかった。
それどころか、「少女漫画の実写化として大成功をおさめた作品なのに、上書きしちゃって大丈夫?」と思っていました。
でも、南沙良さん&鈴鹿央士さんで送る令和版『君に届け』は、ピュアで愛らしくて、なんだかとっても尊かったんです。もちろん、2010年公開の映画版も、大人世代からするとかなり初々しく見えたはず。
ただ、当時中学生の私にとっては、「こんな高校生になりたいな〜」という憧れの気持ちのほうが強かった。だからこそ、年下の子たちが演じている『君に届け』は、“別物”という気持ちで楽しめるんですよね。
あのころ、風早くんに夢中になっていたアラサー世代にこそ、ぜひ見てもらいたい!
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風早くんに恋した学生時代 アラサーになると視点が変わる?
「風早くんみたいな人、いないかな〜」
『君に届け』を読んだ人なら、誰もが一度は思った経験があるはず。もちろん、私も思っていました。
爽子みたいな地味な女の子にも目を向けてあげて、間違っていることはちゃんと「ダメ」と言える強さを持っている。それでもって、明るい世界に連れ去ってくれるような王子様、どこにいるの〜って。
でも、年齢を感じたいま、“王子様は風早くんじゃなくて、爽子だったのでは?”と思うようになりました。ちなみに、ここでいう王子様とは、シンデレラに出てくるプリンスチャーミングのような存在のこと。彼は、鬱屈(うっくつ)した人生を歩むシンデレラを、救い出してくれましたよね。
『君に届け』も、表面上は風早くんが爽子を恋の力で変えたように見えるけれど、実はいちばん変わったのは風早くん自身だと思うんですよね。
爽子と出会って、風早くんは“自分軸”で生きられるようになった。みんなに好かれなくてもいい。完璧じゃなくてもいい。そう思うようになって、風早くんも生きるのがラクになったんじゃないかな? と。
ただ、学生時代ってやっぱり周りの目が気になるお年ごろじゃないですか。それなのに、当時からすでに“自分軸”で生きていた爽子って、すごいですよね。みんなが何を言ったって、自分が楽しければいいと思える。それって、すごい強みだなって。
かつては、「爽子って生き方が不器用」と思っていたけれど、「爽子ってマジで強いな……」と尊敬の念を抱くようになりました。「風早くん落ちてこい〜」と言っていた時代から12年たったいまは、「爽子みたいな女になるぞ!」と燃えています。
元祖・好かれる悪女? やっぱりくるみが最強に可愛い!
恋愛作品において、ヒロインの恋路を邪魔しようとする人間は嫌われる。それなのに、人気が高いのが“くるみ”こと胡桃沢梅! 爽子と風早の恋を阻みまくったのに、なぜか女性たちからの支持が厚いんです。
私にとっても、くるみちゃんは少女マンガのキャラクターの中で“推し”のひとり。栗色のロングヘアーをくるくるに巻いて、サイドをおだんごにするヘアアレンジ、めちゃくちゃ可愛くて憧れたな〜。
ヘアアレンジといえば、『花のち晴れ』の真矢愛莉のスタイルも流行(はや)りましたよね。リボンを編み込んで、ツインテールをするやつ! 体育祭や文化祭などで“愛莉ヘア”をする女子高生が急増していたようです。
くるみと愛莉に共通するのは、“好かれる悪女”であること。
ふたりとも、最初は性格が悪いけれど、だんだんとヒロインのいちばんの味方になっていくところが似ている。恋に対しても一本気な彼女たちは、“好き”に熱いんですよね。友情でも、一度仲間になったら絶対に裏切らない。敵に回すと怖いけど、身内にいると最強なタイプです。
そして、ただ強いだけでなく、もろさを持っているところも、ふたりの共通点。くるみは中学時代に女子から陰口を言われたトラウマを抱えており、愛莉はかなりのおデブで周囲からバカにされていた過去があります。
そんな経験を乗り越えて、必死で強くなろうとする悪女たち。それでも、やっぱり悪くはなりきれないところが、私たちのツボに刺さるのかもしれません。
(文/菜本かな、編集/本間美帆)