何かについて説明や提案をしているとき、相手からこう言われたことはありませんか?
「何を言っているのか、わかりにくいんだけど……」
「結局、何をしてほしいの?」
あ~、あるある……という方は、もしかしたら、話をするときの順番がよくないのかもしれません。
今回は、相手にわかりやすく話をするための「話の組み立て方」と、相手の興味をひいて、最後まで話を聞いてもらうための「ナナヘソナスの法則」についての話。
話には、「相手にわかりやすい順番」がある
聞き手から「何を言っているのかよくわからない」と言われてしまう人は、簡単に言えば、話が支離滅裂なのです。
話の出だしと中盤と最後の内容がつながっていなかったり、途中で関係のない話が入ってきてしまったり……。話す順番が整理されていない。
相手は、まるで、バラバラになったジグソーパズルをやらされているような気分で話を聞いていることでしょう。
普段の雑談なら「ちょっと話がわかりにくい人」で済みますが、会社の会議で話をするときや、お客様に提案をするときなどに話の内容が伝わらないというのは、由々しき問題です。
では、どんな順番で話せば、相手に伝わりやすいのか?
例えば、会議で売上アップのための提案をするとしたら、次のような順番で話せば、聞いている相手はスムーズに理解してくれます。
○事実の報告(例:ここ半年、売上金額がこのグラフのように落ち続けている)
↓
○問題の提起(例:売上を回復させるにはどうしたらよいか?)
↓
○解決のための提案・結論(例:営業のレベルアップを図るためにセミナーを受講させたい)
↓
○説明(例:そのセミナーを受けた他社の成功事例の紹介)
いかがですか?
ものすごくシンプルな流れで、これなら多少、説明がうまくなくても、提案したいことの「理由」も「内容」も「期待効果」もよくわかると思いませんか?
ちなみに、今、この文章も、事実の報告→問題の提起→解決のための提案・結論→説明という順番に書いています。お気づきになりましたでしょうか。
自分の話を興味深く、面白く聞かせるための法則
次は、自分の話に興味を持ってもらい、最後まで面白く聞いてもらうためのテクニックについて。
これは、『世界ふしぎ発見!』(TBS系)などの番組の構成を手がけられた放送作家の石田章洋(あきひろ)氏が、その著書『スルーされない技術』で紹介しているもので、その名も「ナナヘソナスの法則」!
石田氏は、こう言っています。
「興味深く伝える、面白く伝えるためには、話の『受け手』からの視点で話を展開する必要がある」
具体的には……。
○最初の「事実の報告」の部分を「受け手が関心を持つ事実」に置き換える。
○2番目の「問題の提起」の部分で「疑問を抱かせる」
○3番目の「提案・結論」の部分で「納得させる」
○最後の「説明」の部分で「すっきりさせる」
この流れを、受け手の気持ちに置き換えて、言葉に変換すると……。
○「疑問を抱かせる」 → 「なぜ?」
○「納得させる」 → 「へぇ! そう! なるほど!」
○「すっきりさせる」 → 「すっきり!」
これらの言葉の頭文字、「なに!?」の「な」、「なぜ?」の「な」、「へぇ! そう! なるほど!」の「へ」と「そ」と「な」、「すっきり!」の「す」、これらをつなげて「ナナヘソナスの法則」というわけです。
おひな様の雑学に当てはめてみると
例えば、雑談で何かネタを話すときも、この順番で話せば相手に伝わりやすい。
実際に、「おひな様に関する雑学」に当てはめてみましょう。
「なに?」 → ひな壇のいちばん上にいる2人を「おだいり様」と「おひな様」と呼ぶのは間違いです。
「なぜ?」 → この間違いは、童謡の『うれしいひなまつり』の歌詞に、《お内裏様(だいりさま)と おひな様 二人ならんで すまし顔》とあるために広がってしまいました。
「へぇ、そう!」 → 本来、「お内裏」とは、「天皇皇后両陛下のお住まいになる御所」のことを指し、「おだいり様」はそこに住んでいる方のこと。つまり、ひな壇のいちばん上にいる2人は、両方とも「おだいり様」となる。
「なるほど」 → 「おひな様」は「ひな人形」のことなので、ひな壇にいる全員が「おひな様」。いちばん上にいる2人のことを呼びたければ、「男雛(おびな)」「女雛(めびな)」と呼ぶのが正しい呼び方。
「スッキリ」 → 『うれしいひなまつり』を作詞したサトウハチローさんは、すでに日本じゅうに知られた曲になってしまったあとで間違いに気づき、ずっと、この曲を聴くのを嫌がっていたそうです。
いかがですか? 「ナナヘソナスの法則」の法則にそって話すと、すっきりと頭に入ってくると思いませんか?
「ナナヘソナスの法則」で覚えにくい人は、「なに? なぜ? へぇ、そう! なるほど、スッキリ」と、言葉で覚えておいてもよいと思います。
(取材・文/西沢泰生)
【参考『スルーされない技術』石田章洋著 かんき出版】