声優、またアーティストとして絶大な人気を集め、Twitterフォロワー数は100万人以上という蒼井翔太さん。俳優としてミュージカルや舞台にも数多く出演している蒼井さんが、この夏チャレンジするのは、ミュージカル『DOROTHY~オズの魔法使い~』。1900年に児童文学として誕生し、今も世界中で読み継がれる童話「オズの魔法使い」の物語をベースにしたオリジナルミュージカルとして注目の作品で、蒼井さんは“かかし”役を演じる。
本稽古に入る前に、今作への思いや魅力について、蒼井さんがミュージカルに出演する理由などを伺いました。また、いま大切にしている食生活、最近お気に入りの美容アイテムなどプライベートについても、お話しいただきました。
いい意味でオリジナルのかかしを作っていけたら
──ミュージカル『DOROTHY~オズの魔法使い~』のかかし役でオファーがきたときはどう思われましたか?
「『オズの魔法使い』の登場人物には、僕たちが常日頃感じていることであったり、生きている中で疑問に思うことについて、気づかされるようなヒントが、どの人物にもちりばめられているんですよね。その中でもかかしは、すごく純粋無垢で何も考えていないようだけど、しっかりみんなを引っ張っていくところもある、印象深いキャラクターではありました。
最初に出演のお話をいただいたときに『オズの魔法使い』の中で演じるなら、かかし役がいいなって思っていたんですよ。だから素直にうれしかったです。うれしい気持ちもあり、同時にすごくプレッシャーもあります。やりたいと思った役だからこそ、自分の理想像がすごく高かったりしますし、その理想像まで到達する道のりは長く感じたりもするだろうし、ハードルも高くなるだろうし、そういう思いも自分の中にはしっかりとあります。
そして今回は、世界中の皆様に愛されている名作をベースにしながらもオリジナル作品なので、Wキャストの鈴木勝吾くんと一緒に稽古をしながら、役作りで思ったことや感じたことをすべて言葉に出して、しっかりとコミュニケーションをとって、いい意味でオリジナルの勝吾くんと蒼井翔太のかかしを作っていけたらなと思っています」
──どうして、かかし役を演じたいと思われたんですか?
「僕とちょっと似ているところがあるというか……。このお仕事をさせていただくようになって、常日頃からいろいろなことを考えるようになりましたけど。こうして人前に出るようになるまで、人生の先のことなんて考えられないし、自分の今の状態も考えられないし、これからどうしたらいいんだろうと思っていた時期があって。
だけれども当時、あるオーディションに勇気を振り絞って度胸試しで出ようと思ったんですよね。そのときに、オーディションを受けるとか自分の中にはないと思っていたのに、しっかりと頭で考えて勇気を出して進むきっかけが自分の中にもあったんだっていう……。
そういうふうに考えたときに、原作のかかしに似ている部分があるなって思えて。かかしも脳みそが欲しいと言っているけど、自然と頭を使う場面があって、実は脳みそを持っていたのかもしれないみたいな。そういうシチュエーションがなんだか自分に似ていて、かかし役がやりたいなって思ったんですよね(笑)」
◆ミュージカル『DOROTHY~オズの魔法使い~』
誰もが知っているライマン・フランク・ボーム作の童話『オズの魔法使い』。主人公の少女ドロシーが不思議な“オズの王国”で旅をしながら、それぞれに悩みを抱えた、かかし、ブリキ、ライオンといった仲間たちとともに歩み成長していく物語は、読み手によってさまざまな表情を見せる多様性も大きな魅力。そんな名作が、田尾下哲による新たな世界観と宮川彬良の書下ろし楽曲により、古きアメリカから現代のとある国へと舞台を変え、新作ミュージカルとして生まれ変わる。「音楽が支配する魔法の国」での冒険物語は、すべての大人たちに贈る、奇跡の歌の物語。
ドロシー(桜井玲香)は、とある都会の大学生。学校のオーケストラ部ではコンサートマスターを務め、外ではプロのヴァイオリニストとして活躍する一面も持つ。学生最後の定期演奏会を前に追加リハーサルを決定したドロシーに対し、それぞれに生活のある楽団員たちからは不満が噴出。それまで頼られることしかなかったドロシーは、ショックから練習室を飛び出し自らヴァイオリンを封印しようとする。すると不協和音が鳴り響き、楽譜や楽器が飛びかって……気がつくとそこは、現実とはかけ離れた異世界・音楽の都「OZの王国」だった。そこでドロシーを待っていたものは──。
心からワクワクできる楽曲ばかり
──今作の台本を読んだ感想は?
「僕たちが、今を生きている中で大切なことや守りたいものに対しての思いや考え方を、観てくださるお客様が受け止め、改めて意識して考えたくなるような台本になっていると思います。若い方々でもすんなり物語の世界に入ることができる、わかりやすくてにぎやかなミュージカルになると思います。キャストの皆さんの声と演技でつながる瞬間がすごく楽しみです」
──宮川彬良さんの楽曲の印象はいかがですか?
「心からワクワクできる楽曲ばかりなので、早く皆さんに聴いていただきたいなって思います。歌唱指導の先生と一緒にハミングで合わせてみたりシンクロしてみたり、いろいろと教わっていくと一気に自分の身体の中にしみ込んで、“わぁ~、ここの部分はかかしとしてどうやって歌おう”みたいなことが頭に浮かんでくる。宮川先生からのすてきなヒントがちりばめられている楽曲だなと感じています」
──ヒロインのドロシーを演じる桜井玲香さんとは初共演。座長の印象を教えてください?
「囲み会見で初めてお会いしたのですが、ドロシーとしてしっかりと中心にいてくれる頼もしい方なので、最後までついていきたいと思います(笑)。あとは、とても話しやすい方だなと思いました」
──『ウエスト・サイド・ストーリー』のトニー役をはじめ、ミュージカルにも精力的に出演されている印象がありますが、アーティストとして活動されている蒼井さんにとってミュージカルの魅力とは? 出演したいと思う理由は?
「演じる人物の考えていることをメイクや衣装を着て共有したりすることも、ミュージカルのために作られた楽曲を歌えるということもそうだし……。いろいろな魅力がありますけど、いま演技が楽しくて大好きだから、それもミュージカルに出たいなっていうひとつの理由になると思います。
もうひとつの理由としては、お声がけいただけることがすごくうれしくて。出演のお話をいただけるってことは、自分の可能性をその方は見いだそうとしてくださっているのだと思うので。そういうチャンスをいただけることに対して感謝ももちろんありますし、それに応えたいっていう気持ちもすごくあります。
そして常日頃から、僕の背中を押してくれているファンの皆様が胸を張って応援したいと思っていただけるように、もっともっと頑張りたいという思いもあります。それが、ミュージカルもそうですけど、いろいろな方面へと足を踏み出す大きな原動力ですね。ミュージカルに特化していうと、キャストの皆さんと一緒に声を合わせて歌うその瞬間は、やっぱりすごく魅力がありますよね」
最近、オートミール生活を始めました!
──舞台に向けて、あるいは舞台中の食生活で気を使うことはありますか?
「最近、オートミール生活を始めました。オートミールを使った料理を作るのがすごく楽しくなってますね(笑)。オートミールには、食物繊維の中でも水溶性食物繊維が豊富に含まれていて、腸内環境の改善に効果的らしいし、僕の身体にはすごくあっていて調子がいいので続けています。
今朝も、前の晩にオートミールにヨーグルトやナッツや無糖のジャムとかを混ぜて仕込んでおいたスイーツ風の“オーバーナイトオーツ”を食べてきました。あとは、坦々風オートミールとかオムライス風オートミールとか、いろんな味に変化できるので楽しんですよね」
──お料理は、以前からなさっているのですか?
「得意ではないですけど、好きです」
──そうなんですね。では、日々の生活で毎日欠かさないルーティンはありますか?
「部屋の中が緑でいっぱいなんですけど、その観葉植物への水やりですね。あとは……毎日、干し芋を食べてます」
──では、今ハマっているものはありますか?
「市販のお鍋のスープを温めずに麺にかけて、その上にかき氷のように氷をのせて、溶かしながら食べる冷製麺にすごくハマっています。あとは……常温の水。身体を冷やさないように飲むようにしています」
──今、食生活をすごく大切にしていらっしゃるんですね?
「そうです。やっぱり食生活からしっかりとして、自分の体内の戦う戦士たちを強くしなきゃいけないと思って。今、強化期間です(笑)」
──それは大切なことですよね。蒼井さんといえば「美しさ」についても伺いたいのですが、最近お気に入りの美容アイテムがあれば教えていただけますか?
「ハハハ。美容アイテムか~。効果はまだ出ていないかもしれないんですが、あごの筋肉を鍛えたり顔の輪郭をもっとすっきり出したくて、口にくわえて首を振るフェイシャルフィットネス器具を、ゲームをしながら毎日やっています。白とピンクのを持ってますよ(笑)」
──本当に多忙な毎日だと思いますが、蒼井さんの一番の癒やしは何でしょうか?
「癒やされるのは、スイーツだったり、食べるものですね。何かしらストレス発散したいときは、辛いものを食べます」
──辛いものだと何を食べるんですか?
「プルダックポックンミョンとか、辛ラーメンとか、蒙古タンメン中本とか……、唐辛子系の辛い麺ですね。麺も大好きなので。つい最近も、撮影でちょっと遠くまで行ったんですけど、スタッフを道連れにして帰りにラーメンを食べました(笑)。ラーメンも僕の活力の素です」
(取材・文/井ノ口裕子)
《PROFILE》
あおい・しょうた 福井県出身。2011年に声優デビュー後、声優・歌手のみならず、俳優としても活躍。近年の主な出演作に、【舞台】舞台『擾乱 THE PRINCESS OF SHOW AND BLOOD ~陽いづる雪月花編~』(’21)、舞台『RODA59 ‐新時代任侠特区‐』(’21)、音楽朗読劇『El Galleon~エルガレオン~』(’20)、ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season1(’19,’20/W主演)、『王室教師ハイネ -THE MUSICAL II-』(’19)、恋を読む『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(’19)【アニメ】『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』(’22)、『賢者の弟子を名乗る賢者』(’22)、ショートアニメ『ミニ豆ちゃん』(’22)、『プリンセスコネクト!ReDive Season 2』(’22)、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』(’21)、『ヴィジュアルプリズン』(’21)、劇場版『美少女戦士セーラームーン Eternal』(’21)【テレビ】ABEMA『声優と夜あそび』水曜日MC(’22)、【吹き替え】『ディスカバリー・オブ・ウィッチズ~第三章 魔女の血族~』(’22)、『君の世界の中心は』(’22/主演)など。6月29日にライブBlu-ray『蒼井翔太 LIVE 2021-2022 WONDER lab. coRe』を発売。
●公演情報
ミュージカル『DOROTHY~オズの魔法使い~』
作・演出:田尾下哲
作曲・音楽監督:宮川彬良
作詞:安田佑子
出演:ドロシー=桜井玲香 かかし=蒼井翔太/鈴木勝吾(Wキャスト) ブリキ=渡辺大輔 ライオン=小野塚勇人〈劇団EXILE〉/栗山航(Wキャスト) 東の魔女=伊波杏樹 オズの精=横溝菜帆・西の魔女=凰稀かなめ/オズ=鈴木壮麻
企画・製作:関西テレビ放送
日程・会場:
【東京】2022年8月20日(土)~28(日) 日本青年館ホール
【兵庫】2022年9月16日(金)~19日(月・祝) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
◎全国ツアースケジュール
【静岡】2022年9月3日(土) 静岡市清水文化会館マリナート
【愛知】2022年9月10日(土)~11日(日) 愛知県芸術劇場大ホール
【広島】2022年9月13日(火) 広島文化学園HBGホール
【福井】2022年9月21日(水) フェニックス・プラザ
【富山】2022年9月23日(金・祝) オーバード・ホール
【鹿児島】2022年9月28日(水) 川商ホール・第1(鹿児島市民文化ホール)
【福岡】2022年10月1日(土)~2日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【群馬】2022年10月12日(水) 高崎芸術劇場 大劇場