日用品や食料品、コスメやDIYグッズなど、あらゆるものが100円でそろうとあって、コロナ禍にニーズが拡大した100均ショップ。2020年度の業界の売上高は、なんと過去最高の9000億円を突破した。
しかし、優秀アイテムがひしめく一方で、安かろう悪かろうなアイテムが混在しているのも事実。「すぐ壊れてしまった」「便利に見えたけど使えなかった」といった経験をした人も少なくないのでは?
節約のための100均がお金の無駄になってしまったら本末転倒! 買ってはいけないNGアイテムを、2人のプロに聞いた。
アイデア商品に注意! 気づけば無用の長物に
「基本的に、1つしか用途のない専用アイテムは、モノが増えるだけなので、おすすめしません」というのは、100均マニア歴23年のプチプラブロガー・つくもはるさん。商品を知り尽くすマニアだけに、失敗もしてきたという。
「例えば、レンジでできる『温泉卵メーカー』は、耐熱マグカップで代用可能。わざわざ専用アイテムを買う必要はないです」(つくもさん、以下同)
また、パッケージに使用法が記載されているため、それがないと使い方がわからなくなるのも不便極まりない。
「ゆで卵をむきやすくする『穴あけ器』も、劇的にむきやすくなることはなし。買うほどの価値があるのか疑問です」
いずれも、使用頻度が高いわけでもないため、しばらくするとキッチンの肥やしに。
早々に戦力外通告を受けた専用アイテムはほかにも。
「ペットボトルを圧縮するグッズは、硬いペットボトルはつぶしにくかったし、セッティングも面倒。踏んでつぶすほうが早いです(笑)」
一方、ステイホーム期間中のDIYブームで、100均アイテムを使ったDIYにも注目が集まったが、クオリティーはいまいちなものも。
「トイレやリビングの壁に使えるリメイクシートは、1枚のサイズが小さいので、必要とする分を買おうとすると、かえって割高になってしまいます」
大容量でオトクに見える洗濯バサミも、残念な品質。
「プラスチック製の洗濯バサミは、紫外線で劣化しやすく、すぐにパキッと折れてしまいます。多少割高でも、ステンレス製のものを選ぶのが正解」
ハズレ商品が多いNGジャンルを知ろう
節約アドバイザーの和田由貴さんによると、100均で失敗しないコツは、ハズレが多いジャンルを知ること。
「100均の生活消耗品は、ホームセンターやスーパーの商品に比べると、ほとんどが割高。ゴミ袋やアルミホイルは、1枚当たりや1メートル当たりの価格を考えて買ったほうがいいでしょう」(和田さん、以下同)
同様に、調味料や香辛料も、グラム当たりの単価が高いことが多いので、安さを求めるならスーパーで買ったほうが断然お得。
「ただし、めったに使わないスパイス類に関しては、100均のミニサイズのほうが無駄なく使えるのでおすすめ」
文房具も、10本入りのボールペンや、袋に大量に入った消しゴムなど、単価が極端に安いものは低品質。しかし、1本100円のボールペンは、大手メーカーの商品の場合があり、文房具店で買うよりお得なことも。
また、和田さんも失敗したというのが、精密機器の類。
「100均の時計はとても壊れやすいです。私自身、時計は何度も失敗しているので、買わないと決めています」
お菓子作りなどで使う計量器も、100均は基準を満たしていないものがほとんど。
「見た目は計量器でも、商品名は『重さ目安器』など曖昧な名前がついています。計量器としてあてにならないので、気をつけてください」
また、Instagramで紹介されている、おしゃれな100均インテリア小物も、意外と曲者。
「インスタグラマーは、センスよく写真を撮っているからおしゃれに見えるのです。自分の家で再現できるか、しっかり考えてから買わないと、無駄になってしまいます」
期待大のアイテムほど裏切られた感が強い
今回、100均ファンの読者に「もう買わない100均グッズ」アンケートを実施。
【1位】コスメ
最も多く票を集めたのは、女性の必需品、コスメ。
「見た目は可愛いけど、チークは肌に合わず荒れてしまったし、グロスは香りがきつい」(26歳・出版)
「アイシャドーは発色がきついし、すぐ粉浮きする」(40歳・主婦)
「アイブローは硬くてラインが引けなかった」(25歳・事務)
など、見た目に騙(だま)されたという声が多数。やはり100円の化粧品はそれなりなものが多いのか。
【2位】ウエットティッシュ
ワースト2はコロナ禍で需要の増えたウエットティッシュ。
「キッチン用のウエットティッシュは、開けたらすでに乾きかけていた」(45歳・主婦)
「薄くてすぐ破れるし、水分がすぐ蒸発した」(35歳・ヘアメイク)
「子どもが小さいとき、お尻ふきをまとめ買いしていた身としては、あの量で100円は割高に感じる」(50歳・主婦)
など、ハズレ意見が多く寄せられた。
【3位】イヤホン
「買ってすぐ片方が聞こえなくなった。でもつい買ってしまう」(33歳・ライター)
「有線イヤホンを買ったが音質が悪く、ケーブルも切れた。やはり100円で買うものじゃないと実感」(36歳・金融)
【4位】テープ類
「ガムテープもセロテープも付きが弱い」(45歳・主婦)
「マスキングテープは硬くて使いにくいし、時間がたつとはがれる」(30歳・不動産)
「付箋は粘着力が弱くて落ちてしまう」(27歳・教員)
【5位】食品ラップ
「メーカー品のようにクルッと切れない。密着力が全然ない」(40歳・主婦)
「カットした後すぐ巻き戻ってしまうので、いちいち切り口を探すのがストレス」(39歳・WEBデザイナー)
ランキング外のアイテム
「100均で買えるなんてオトク!」と期待の大きい商品ほど、ハズしたときのガッカリ感も大きくなる。そのほか、こんなアイテムも。
「皮受けケース付きのピーラー。受け皿がすぐいっぱいになるので全然使えなかった」(44歳・主婦)
「冷蔵庫で使うチューブ調味料ホルダーは、使わなくなった。ドアポケットで十分」(45歳・販売)
キッチン周りの便利グッズは期待はずれという声が。掃除用品も需要は高いものの、
「タオルは劣化が早くてカピカピに」(38歳・パート)
「スポンジたわしはすぐ破れるので、結局割高」(40歳・主婦)
と、不満の声。
また、「タオル地のヘアバンド、使うたびに糸くずが出て顔も洗面台も糸くずだらけ」「ポーチ類のファスナーやスナップが壊れてた」「子どものキャラもの靴下、数回の洗濯でゴムが伸びる」「おりがみが正方形じゃなかった」なんてコメントが!
しかし、中にはこんな声も。
「いつも100均のお世話になっているし、だいたい満足」
アイテム選びを間違えなければ、頼りになる100均。失敗商品を買って損しないよう、上手に利用しよう。
(取材・文/中村未来)
《PROFILE》
つくもはる ◎100均マニア歴23年のWebライター、ブロガー。インスタグラム(@haru2422)では、100均グッズの検証や、100均アイテムを使った裏技などを毎日発信中。
和田由貴 ◎節約アドバイザー。100均事情に詳しい専門家として、テレビや雑誌など多方面で活動中。著書に『和田由貴のシンプル節約術』『年間50万円は貯まる チリ積も節約術』など。