12月上旬のある日、くまモンが某スタジオで「ファン感謝祭inTOKYO」(以下、ファン感)に向けてひそかに稽古をしているという情報をゲット。くまモンファン歴10年を超える私は、こっそりのぞきに行ってみた。
くまモン、開脚に大苦戦!?
どうやら、まずは身だしなみを整えているよう……と思ったら、鏡に近づき、自分の顔をしげしげと見つめている。なんだか自分にうっとりしているようだけど……。
しばらく眺めたあと、おもむろに柔軟体操を始めたが、どうも身体が硬いようだ。くまモン隊のおねえさんが、ぐいっとくまモンの背中を押す。
「お、おねえさん、ちょっと優しくしてほしかモン」
「このぐらいできないとダメ」
おねえさん、なかなか手厳しい。
「じゃあ、おねえさん、やってみて」
「簡単だよ〜」
開脚して、床にぺたりと身体がつく。上からさらに押してみるが、くまモンの体重をもってしても、おねえさん、まったく意に介さない。す、すごい。
ちょっと慌てたくまモン、話を変える。
「ボクだって、前後の開脚はできるモン」
「いや、それ、ズルしてるでしょ」
そこで、ふっと目が合う。
「おろ? 見てたのかモン?」
「ファン感のためにどんな練習をしているのかなと思って」
「まだナイショだモン。ねえねえ、ボク、かわいい?」
当然です。
「ほんと~?」
ち、近い……。
ようやく練習に戻ったくまモン。鏡に向かって、せっせと柔軟体操やダンスの練習を重ねていた。結局、ファン感の内容を聞き出すことはできなかったが、くまモンの一生懸命さだけは伝わってきた。
ファン感が大盛り上がりするワケは
くまモンの誕生日は3月12日。この日は例年、熊本で「くまモン誕生祭」という大イベントがおこなわれる。それに先だって1月から2月にかけて東京、大阪でファン感謝祭が催されるのが恒例だ。
リアルなファン感は一昨年以来、2年ぶりの開催となる東京。
東京ファン感で、くまモンはさまざまなことにチャレンジしてきた。組体操、狂言(実際に大蔵流の狂言師に稽古をつけてもらったそうだ)、マジックショー、ピアノなどなど。どれも練習に練習を重ねて自分のものにしていった努力が想像できるだけに、毎回、観客は心を打たれる。くまモンに「適当でいい」という気持ちは皆無なのだろう。
ダンスはもともと得意だが、「ダンス部」と銘打って数多くの踊りを披露したときは、ロングヘアでアムロちゃん(安室奈美恵)になりきって踊ったり、『マツケンサンバ』で魅せたり。いつも100パーセント以上のパフォーマンスを見せるくまモンらしさが光っていた。
また、くまモンはたくさんの衣装を持っているので、ファン感ではそれらの一部をお披露目してくれるのも楽しい。タキシードで登場したこともあるし、熊本五高の制服、エヴァンゲリオン、ワールドカップのときのラグビーのユニフォーム、女子ハンドボール世界選手権のときのユニフォーム、千鳥格子のコートも忘れられない。このコートで登場した瞬間、客席からワーッと歓声が上がったのが昨日のことのようだ。
過去、ファン感には多くの「熊本のお友だち」が駆けつけてくれた。仲よしの鞠智(きくち)城のさきもりころう君をはじめ、恋がウワサされている(!)五木村のいつきちゃん、上天草四郎くん、大津町のからいもくん、荒尾市のマジャッキー、玉名市のタマにゃんなどなど。そんな仲間たちと「わちゃわちゃ」楽しんでいるくまモンを見るのが、ファンの楽しみでもある。
お互いに感謝し合える大切な日
ファン感が正式発表を経て始まったのが2014年。だんだん構成も凝ってきて、2020年はくまモンがミュージカルに挑戦した。かなり激しいヒップホップ系のダンスも踊ったのだが、これがまた見事なステップを披露し、拍手喝采を浴びた。あの体形で(失礼!)、あれだけの複雑なダンスを完璧にこなすのは、そうとう大変なことのはず。それでも頑張って、いつでも期待以上のものを見せてくれるのだ。
初めてくまモンを見たのがファン感だったという知人がいるのだが、「あまりに楽しくて、日ごろのストレスを忘れて笑い転げ、ダンスを見てびっくりした」と、しみじみと話していた。
ファン感謝祭は、「くまモンがいつも応援してくれているファンに感謝する」という意味合いだが、ファンにとっては、自分たちがくまモンに感謝する2日間でもある。
ファンはくまモンを見て元気になり、くまモンはファンの笑顔でまた力を得ていくのだろう。
年に一度の東京のくまモンファン感謝祭。今年はどんな才能あふれる楽しいステージを見せてくれるのだろうか。
(取材・文/亀山早苗)
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