やがてはお花たちもレガシーに
“チョコレート”と聞いたら、なんとな~くお腹がすいたな。ご安心あれ。植物館には、大きな窓の向こうに植物と水辺が広がる、南国リゾートのような「夢の島カフェ」も併設されているのだ。見て、学んで、嗅いで、食べて、温まる、お手軽南国旅行を満喫できる施設だった。
これは来る7月の東京五輪・パラリンピック時には、世界中の観光客が植物館、並びに夢の島に押し寄せそう。
「残念ながらセキュリティーの問題から、開催時の約2か月間は休館になります(苦笑)。ただわれわれは植物に携わっていますから、これまでも大会に向けた、真夏に強い草花を植える『夏花プロジェクト』やアーチェリー体験会などのイベントも開催してきました。現在は調整中ですが、大会終了後には夢の島公園を花で彩り、五輪のレガシー(遺産)として遺していければと思っております」
「夢の祭典」に夢の島、熱帯植物館も花を添えそうだ。
■夢の島ならではのエコ施設 冬でも暖かいわけは「ゴミ」
真冬でも「夢の島熱帯植物館」が暖かいのは、同じく夢の島にある「新江東清掃工場」で、ゴミを焼却した際に生じる熱源を利用しているからだった。その仕組みを高橋将館長に聞く。
「一般的に温室を暖めるのはボイラーですが、植物館は清掃工場でつくられる125度、5.5気圧の高温水を熱源として利用しています。通常、水は100度を超えると水蒸気となってしまいますが、こちらでは加工液体を使用しているので蒸発しないのです」
そのままでは熱くなりすぎるため、植物館の熱交換機で適温にされた70℃の温水を、館内に張り巡らされた配管を通すことで暖房として館内を暖めているのだ。また、夏場に使用する冷房も、清掃工場の熱源を再利用している。
「夏場は、温室の中が必要以上に高温になってしまうので、窓の開閉や冷房を使って調整します。冷房の場合は、吸収式冷凍機で清掃工場の高温水のエネルギーを取り出し、気化熱を利用して冷風をつくって館内に送っています」
環境にやさしい、とってもエコな植物館なのだ。
東京都江東区夢の島2-1-2 ○9:30~17:00(入館は16:00まで)休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)12月29日~1月3日 料金:一般/250円 65歳以上/120円 中学生/100円 ※小学生以下、および都内在住・在学の中学生は無料 ほか詳細は http://www.yumenoshima.jp/
(取材・文/山崎ますみ)
(週刊女性2020年2月11日号掲載)