さすがは赤塚不二夫!
それを聞いた赤塚先生からは驚きの言葉が。
「まだ(締め切りまでに)時間がある。飲みに行こう!」
冗談ではなく、本当に、編集者を誘って飲み屋へ行く赤塚先生。
ひと飲みしてから再び仕事場に戻り、締め切りまでに、描き直した原稿をきっちりと編集者に渡したのです。
私が「仕事がおじゃんになったとき、気力を復活させるための魔法の言葉」として、ずっと使わせていただいているひと言を赤塚先生が言ったのは、描き直した原稿を編集者さんへ手渡すときでした。
赤塚先生は、こう言って、編集者さんに原稿を渡したのです。
「2度目だから、(最初より)もっと、うまく描けたよ」
赤塚先生! あ、あなたは神ですか!
間違って、せっかく書いた原稿を消してしまったとき。私は、いつも、赤塚先生の言葉を思い出し、こう考えるのです。
「原稿は消えてしまったけど、消えてしまったおかげで、2回目は、もっとうまく書ける!」
そう思って、最初から書き直す気力を呼び起こす。先日、8ページぶんの原稿を消してしまったときも、書き直しのときに、最初の原稿にはなかった話を盛り込むことができました。
この考え方。強引ですが、企画書や長文のメール文面が消えてしまったときにも使えますよね。「2回目は、もっとうまく、書ける!」って。
せっかくやった仕事がおじゃんになったとき。この言葉、ぜひ、使ってみてください。
(文/西沢 泰生)
【著者PROFILE】
にしざわ・やすお ◎作家・ライター・出版プロデューサー。子どものころからの読書好き。『アタック25』『クイズタイムショック』などのクイズ番組に出演し優勝。『第10回アメリカ横断ウルトラクイズ』ではニューヨークまで進み準優勝を果たす。就職後は約20年間、社内報の編集を担当。その間、社長秘書も兼任。現在は作家として独立。主な著書:『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』(アスコム)/『伝説のクイズ王も驚いた予想を超えてくる雑学の本』(三笠書房)/『コーヒーと楽しむ 心が「ホッと」温まる50の物語』(PHP文庫)ほか。