やっぱり30代は面白い

 27歳で大河主演を務める吉沢。高良は28歳で高杉晋作役で大河初出演を果たしたが、当時、彼は本誌のインタビューで「このままじゃいけない、自分は意識を変えていかなくてはダメだ」と語っていた。今年で34歳を迎える高良。当時の悩みについて聞いてみると─。

25歳くらいのときから“今のままだとツラい”という気持ちがあったんです。演じるということが、自分の中のものを削り取って出しているというイメージがあって……。このままじゃ、役者という仕事を辞めるしかないのかなと

 役者って、役という“他人”が自分の身体の中を通るので、自分が“NO”と思っていることを“YES”と言わなくてはならなかったり、自分が信じていることを否定しなくてはいけなかったり。そういうことを、あのときは器用にできていなかったなという気がします

 人気俳優と注目され、さまざまな作品で多くの役を演じてきた高良。自らのアイデンティティーと、演じる役との狭間で感じていたことは?

自分が自分じゃなくなっていく感じ……。僕たちの仕事って、紙に書いてある文字を言葉にするだけじゃないと思っていますけど、その言葉だけを切り取られたり

 そして迎えた30代。少しずつだが、高良自身、変わってきているという。

芝居の中でつく“嘘”を自分自身が咀嚼して捉めるようになったかなと。感覚という不確かなものだけに頼るのではなく、ある意味、言葉にして自分を納得させることができるようになったと思います。僕の中ではこのことが“捉まえる”という認識なんですけど。

 20代のころに自分の中でいろいろ考えて準備をして、30代になってから思っていたことがすぐにできたというわけではないけれど、ここに来るまでの段階として必要だったんだなと。やっぱり30代は面白いですよ(笑)

 30代も半ばに差しかかり、次のステップとしての目標について聞いてみると、

僕は年齢って過ぎていくものではなく、重ねていくものだと思うんです。役者という仕事は、やり続けていればもっといい演技ができるようになる可能性がある。70歳、80歳でも続けられるし、その年齢にならないとたどり着けない境地もありますよね。

 この仕事を続けていくのであれば、もっと自分がやっていることをしっかりと捉まえられるようにしたいですね。今、ようやくそれができるようになってきたかな、と思っています

●次回(8/15)放送の『青天を衝け』はこうなる!

 篤太夫(吉沢亮)や昭武(板垣李光人)らがパリで新年を祝う中、幕府から書状が届く。“慶喜(草なぎ剛)が政を朝廷に返上した”との文面に一同大混乱する中、篤太夫は昭武の留学費用を捻出すべくさらなる節約策を講じる。そんな折、篤太夫はエラールに連れられ、証券取引所を案内される。

 債券の仕組みを教わり、ひとりひとりの小さな力が合わさり、この世を変えられることを知り、新たな決意を抱く。そのとき、日本では、成一郎(高良健吾)、惇忠(田辺誠一)、平九郎(岡田健史)が、新政府軍と戦っていた。

『青天を衝け』

(取材・文/蒔田稔)

(週刊女性2021年8月10日号掲載)