【4】お稲荷さんは祟(たた)る?
小さな神社には稲荷神社が多い。『祟り』など怖い印象があるのだが……。祈祷師のJJさんが説明する。
「稲荷神社は決して怖い神様ではありません。狐(きつね)を思い浮かべる人は多いでしょうが、狐はあくまで神様の眷属(けんぞく)です。仕事が早く、強い力がある」
そこで神様より先に狐にお願いをしてしまうと「手伝ってやろう」と奮闘し、お願いを叶(かな)えてくれるという。
「叶える力がある反面、祟る力もある。もし願いが叶っても蔑(ないがし)ろにするようなら“自分や主人である神様のメンツをつぶされた”と狐が怒るんです。
これがお稲荷さんが怖いといわれるようになったいわれです。問題なのはお願いをしてお礼を言わないことなんです。後日必ずお礼に行くように」(JJさん、以下同)
【5】参拝のベストな時間は?
「夜は魔の時間。神様ではないものも現れるので、参拝は遅くとも午後5時までに」
手順は、まず入り口や鳥居のところで一礼すること。
「敷地がないところもありますが、これから神様の聖域に入らせていただきます、と挨拶しておくといいでしょう」
そして社の前ではお賽銭(さいせん)を入れ、鈴があればそれを鳴らす。そして二礼・二拍手、お願い事などを祈る。最後に一礼し、敷地を出るときはもう一礼して終了だ。
【6】御利益アップするには
「稲荷神社は縁結びもある所が多いのですが、本来は専門ではない。五穀豊穣や商売繁盛の神様なので家が豊かになることは多くの良縁にも恵まれます。そこから“縁結び”も期待されるようになったのです。
神様はお参りをすると喜んでくださり、人が訪れると力も強くなるんです。有名な神社だけでなく、街の中の小さな神社でも強い神様はたくさんおられます」
【7】荒れた神社の参拝は?
手入れがされていない、暗く荒れている神社は『よくないもの』がいる場合があるのでやめたほうが無難。
「街の中には小さな神社だけでなく、お地蔵さんや祠(ほこら)などもありますが、お参りするときは注意を。供養を目的として建立されているものは必ずしも御利益があるとは限りません。むやみに祈らないほうがいいこともあります」
◇ ◇ ◇
取材中、どの神社でも何人もの人が熱心に手を合わせ、祈りを捧げていた。
前出の田中さんは訴える。
「街の中の神社を私たちは残したいと思っています。つないでいくのは人、次の世代も先人の思いを理解して守り育ててもらいたい」
小さな神社は思いが込められたバトン。だから祈る願いにはご先祖様たちも力を貸してくれる、かもしれない。