伝統と変革の両翼で羽ばたく『どさん子』
昭和から変わらない味を提供し続けるチェーンもあれば、時代に合わせて変化を続けるラーメンチェーンもある。日本中に札幌味噌ラーメンを定着させた立役者『どさん子』だ。創業は1961年で、元は餃子飯店「つたや」という墨田区の中華料理屋だった。
「創業者の青池保が北海道物産展で味噌ラーメンに衝撃を受けたことがきっかけで、1967年に『札幌ラーメン どさん子』の1号店が墨田区の両国に誕生しました」
そう教えてくれたのは、どさん子チェーンを運営する株式会社アスラポートの仲本悠太さん。フランチャイズというチェーン展開も当時は珍しく、日本の経済成長とともに加盟店も増え続け、1979年には1150店舗まで一気に拡大。
「当時はラーメン専門店という形態はほとんどなく、ライバルも少なかったので、これだけ急成長できたのだと思います。当時から現在まで残っている店舗では、立地ごとの需要に合わせてオーナーさんがメニューのアレンジをするなどの工夫をし、より地域に根差した経営を続けているところもありますね」(仲本さん)
2014年からはこれまでの『どさん子』をより進化させるリブランディングにも着手し、東京・大手町をはじめとした『リブランド進化版 どさん子』の店舗を出店。次の50年を見すえ、どさん子を知らない世代にもより愛される味を追求している。
「主力商品の味も改良を重ね、新しいスタンダードとなる味噌ラーメンを生み出せたと思います。お店自体もきれいで入りやすい、現代風のレイアウトにこだわって設計しています」(仲本さん)
さっそく、リブランド進化版の「どさん子ラーメン 下前津店」で、新定番の『赤練 味噌ラーメン』(750円)と『元祖 味噌ラーメン』(690円)を食べ比べた。『赤練』は山椒の香りが立ち、より濃厚でコクの深い味わい。『元祖』よりも味噌の力強さを感じられ、舌の肥えたラーメン好きにより好まれる1杯だと感じた。
「味噌ラーメンという本質は変わりませんが、どさん子を昔から知っている方の期待を裏切らないようにしつつ、新しい層にも届くよう、伝統と変革を大切にしていきたいですね」(仲本さん)