年齢を理由にあきらめたくない。59歳で初めてスイスへひとり旅

──生きていくうえでのポリシーはありますか?

「これ! というのはないですけど、今、目の前にあることをやるということですね。老後のことを考えてもわからんし(笑)。私、いつも行き当たりばったりなんですよ。年齢のことは考えないようにしてます。年齢であきらめたくなくて。いくつになっても、チャレンジする気持ちを忘れたくないですから。

 59歳のときにひとりでスイスへ旅行に行ったんですけど、初めての海外ひとり旅でした。これも挑戦やと思って。私、マッターホルンが大好きで、昔、友達と行ってすごく楽しかったのもあって、英語はできないけどなんとかなるやろうと思って行ってきました(笑)。

──すごい度胸ですね。ひとり旅はいかがでしたか?

「満喫しましたよ。『カメ止め!』でイタリアの映画祭に呼んでいただいたときに飛行機に乗ったんですけど、そのときに“そうか、飛行機に乗れば行きたいところへ行けるやん”と思ったんです。それで自分がひとりでどこまで行けるかチャレンジやと思って、チケットを予約して。最初はドキドキでしたけど、飛行機に乗ったとたんテンションが上がって、CAさんに“ワイン、プリーズ!”とか言ってましたね(笑)

 着いてから券売機の切符の買い方がわからなくて、戸惑っていたら助けてくださる方がいて目的地に到着、宿で“マウントビュー!”って言ったら、ちゃんと山の見える部屋にしてもらえたし、もう楽しんだもん勝ちです!

「私、いつも行き当たりばったりなんですよ。年齢のことは考えないようにしてます。年齢であきらめたくなくて」 撮影/吉岡竜紀

──竹原さんの話を聞いてると元気になります。

「ありがとうございます。私は元気だけが取り柄です(笑)。スイスの山々を見たときに“生きてるだけで幸せやな”って思ったんです。この大自然を目の前にしたら、もう何もいらんって。ご先祖様って戦国時代やいろいろな時代をくぐりぬけて、私たちに命をつないでくれてる。ひとつ間違えてたら今の自分は存在してないので、生きてるだけでありがたいって思えるんです。

 あと、頼れるのは自分だけという思いもありました。山道はよそ見をして歩いていたら足をくじいたりするので、一歩一歩、地面を踏みしめて目の前を向いて歩いていくっていう……、なんか人生に似てるなあと思って。山はいろいろ教えてくれますね

「ひとつ間違えてたら今の自分は存在してないので、生きてるだけでありがたいって思えるんです」 撮影/吉岡竜紀