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あの時代

平成文化研究家・山下メロが、1500万円以上の私財を投じて全国の土産品を集めるワケ

SNSでの感想
山下メロさん。自身の事務所の壁には懐かしのキーホルダーがこんなにたくさん! 撮影:渡邉智裕
目次
  • 収集の原点はねじ!? 人々が興味のないものに価値を見出す 
  • 仕事を辞めて収集活動を本格化、費用は1500万円以上!
  • コレクションの大英博物館収蔵がゴール

 大量のキーホルダーの前にたたずむ男性。彼の名は山下メロ(40)『#平成レトロ』という言葉を提唱し、記憶が薄れゆく平成初期の文化を研究している。また、'80年から'90年代のバブル期に、日本各地の観光地で売られていた子ども向けの可愛らしい土産品を『ファンシー絵みやげ』と名づけ、全国各地の土産物店をまわって収集するコレクターでもある。

 近年では、その活動がSNSなどを通じて話題を呼び、『マツコの知らない世界』(TBS系)や『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)などにも出演し、活動の場を広げている。なぜ彼は「平成レトロ」に魅せられてしまったのか。そのルーツに迫る。

収集の原点はねじ!? 人々が興味のないものに価値を見出す 

 総数2万点以上という土産品や総量1トンを超えるキーホルダーは、山下さん自らが訪れた全国各地の店で手に入れた品々。彼は、子どものころから、物を集めるのが好きだったという。

「生まれは広島で、小2で埼玉に引っ越しました。もともと、子どものころからコレクター気質で、収集初めは“ねじ”。幼稚園の行き帰りに、ねじを拾ったりしていました(笑)」

 山下さんが広島県から埼玉県に引っ越したころ、世の中は平成を迎えた。地方から首都圏に移り、バブルを感じたりはしたのだろうか?

「小2はバブルを感じないですよ(笑)。バブルは常にテレビの中の出来事でしたね。埼玉といっても、茨城や栃木との県境でしたから、東京からははるか遠いのです。都会に出たとしても、ウォーターフロントに行かないと、わかりやすいバブル感は味わえません。

 ある日を境に大人が急に浮かれ出すわけじゃないから、子どもにとっては、いつからがバブルだとか、よくわからないんです。ただ、CMなどで“5時から男”(高田純次が、終業時間になると元気になるサラリーマンを演じていた『グロンサン強力内服液』のテレビCM)とかを見ていて、“サラリーマンは楽しそうだな”って思っていましたよ

 当時から収集や分析力のある側面を見せるが、子どものころの夢は、意外な職業だ。

「小学校の卒業文集には“ギタリストになりたい”って書いていました。大好きなCHAGE and ASKA(チャゲアス)の影響ですね。“チャゲアスがギターを持っているからギタリストになろう”っていう、そのレベルです」

 山下さんは、小学生時代からカードやプラモデルの収集も始めたという。一度ハマると、とことん追求する性格のようで、その独自の視点が光る。

「幼稚園のころから、ねじのほかに『ビックリマン』(チョコレート菓子)についていたシールを集めていました。小学校に入ると、ガンダムのカードダス(バンダイから発売されているトレーディングカード)、ガン消し(ガンダムの塩ビ人形)を集めましたね。プラモデルのBB戦士にも、どハマりしていましたよ。

 同じように集めていても、小遣いの多いヤツには勝てないから、ガン消しやビックリマンでも“人と違った視点で集めなきゃ”って思っていました。今の活動に近いんですけど、みんなが『あたり』を集めるなか、自分はあえて『はずれ』を集めようとしました需要の高い『あたり』を、自分の欲しい『はずれ』と交換していくんです。『あたり』扱いのヘッドというキラキラのシール1枚に対して、『はずれ』扱いの悪魔50枚、みたいな交換。それで、悪魔をコンプリートしようとしていました

「誰も集めていないものを集める」ということを、幼少期から行っていたというから驚きだ。'80年代から'90年代にかけて、日本各地の土産物店で見かけた子ども向けの雑貨土産、『ファンシー絵みやげ』。人々がその存在を忘れかけた今もなお、それを集め続ける彼の精神にも通じる。

「みんなが嫌がって集めなかった悪魔のように、多くの人が捨ててしまっているものを残したいと思っていました。懐かしいグッズは、20歳くらいから集めています。ファンシー絵みやげは30歳くらいから」

ファンシー絵みやげには、地域性の高いキーホルダーがたくさん 撮影:渡邉智裕
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