コレクションの大英博物館収蔵がゴール

 2011年から始めたというファみ活。2万点以上の土産物に囲まれた事務所で、どう過ごしているのだろう。

「人間の暮らしは捨てています(笑)。保護した物の置き場には困っていますよ。研究ですから、ただ置いておけばいいわけではありません。俯瞰(ふかん)したり、比較したりします。ただしまっておいても、何にもならないんです」

事務所内にある、総量1トンを超えるグッズにはスタッフもびっくり! 撮影:渡邉智裕

 まさに収集家ならではの悩みともいえるが、そんな彼の目には、物をもたない主義のミニマリストはどう映るのか。

「私はマキシマリストと呼ばれて、よくミニマリストと比較されます。ミニマリストはまさに対極の存在ですが、断捨離など、物を捨てることについては否定的にとらえていません。物を手放す人がいてこそ、守る人が必要になるんです。誰も何も捨てなかったら、自分の仕事も必要ありませんから

 多くの人が必要としないものに価値を見出す。まさに、山下さんが子どものころに集めていた悪魔のビックリマンシールの話に通じる。だが、だんだんとファンシー絵みやげの認知度は高まり、中古品を扱う業者が増えているそうだ。彼が口にするのは、ファンシー絵みやげに興味を持ってほしいということ。

「ファンシー絵みやげ保護活動としては、みんなが捨てずに集めるようになれば、目的達成だと思うんです。みんなが欲しがれば、業者の人も扱うようになるので」

「ぜひファンシー絵みやげのことを思い出してください」と山下さん 撮影:渡邉智裕

 そう語る山下さんの目標は、なんと大英博物館。

「私の設定しているゴールは、大英博物館への収蔵。コレクション全部は引き取ってもらえないでしょうけども。“10個くらいでいいです”って言われそう(笑)。でも、権威のあるところに認めさせたら、愉快ですよね。日本のバブル時代も悪くないって思えるんじゃないですか」

(取材・文/池守りぜね)

※インタビュー後編:『ファンシー絵みやげ』収集家と振り返る、懐かしすぎる平成グッズと“独自の文化”


【PROFILE】
山下メロ ◎ファンシー絵みやげ研究家・平成文化研究家。『平成レトロ』を提唱し、平成元年(バブル期)から平成初期にかけての風俗や文化の分析及び保存を行う。また、1980年代から1990年代に日本各地で売られていた子ども向けの土産品を『ファンシー絵みやげ』と名づけ、全国の観光地で保護活動を行っている。保護したファンシー絵みやげは21000種におよぶ。著書に『ファンシー絵みやげ大百科 忘れられたバブル時代の観光地みやげ』(イースト・プレス刊)がある。Twitter→@inchorin