ストレスを減らすたったひとつの方法、それは「手放す」ことよ

 このツイートから一気にフォロワーが増えたので、私にとっても印象深い言葉です。

 この言葉は、自分の実体験から生まれました。まさに、パートナーが亡くなって、いちばんつらかった時期、仕事の面でも次から次にトラブルに見舞われました。どうしてこんな目にあわなきゃいけないの? と思い悩むなか、「いちばん大切なもの以外はどうでもいい、手放したっていいじゃない」と気づいて、ふっとラクになったんです。

 自分にとって、いちばん大切なものはパートナーでした。それをなくしちゃったんだから、ほかのことは深く考えなくていいと、いい意味で開き直ったんです。

 人って、次から次へと「こうならなきゃいけない」という思いが湧いてきますよね。もっとお金がなきゃ、もっと昇進しなきゃと、欲が生まれるほどストレスも増えていきます。でもそのストレスで時間を奪われ、家族など本当に大切なものをないがしろにしてしまうのなら、こんなにもったいないことはありません。

 いちばん大事なものをなくしてしまった自分だからこそ、みなさんには、いまある幸せに気づいてほしいという思いがありました。

 執着を手放せば手放すほど、心はラクになっていきます。でもどうしても手放せずに最後に残ったものこそが、みなさんにとっての「希望」であり、生きる理由なんです。

最大の仕返しは気にしないことよ

 他人からイヤなことを言われたりされたりして、いつまでも忘れられない……。そんな経験は誰にでもあるでしょう。「気にしないのがいちばん」とわかっていても、なかなか難しいですよね。

 そんなとき、無理に「忘れなきゃ、気にしちゃダメ」と思いつめる必要はないんです。ただ、「気にしないことがいちばんの仕返しよね」と、頭の片隅にでも置いておきましょう。

 自分がいちばんラクになれる方法を知っているだけでも十分。少しずつ自分の感じ方や考え方が、正しい方向に修正されていきます。そのうち、相手の言動を過度に意識する必要はないと気づくはずです。

素晴らしいパートナーというのは、不満のない相手じゃない

 大切なパートナーを亡くしてしばらくたったあと、さみしくて新しいパートナーを探していた時期がありました。亡くなったパートナーを理想化するのはよくないとわかってはいるんだけど、ついつい彼と比較してしまっていたんです。

「ちょっと理想とは違う……」と思ったときに、「そもそも理想ってなに? 理想の相手なんているの?」とはっとしたことがありました。

 何も不満がない、完璧な相手なんているはずありません。その不満を、お互いに伝え合える信頼関係を結べるかどうか。それがいちばん大切なことなんだと気づいたんですね。

 見た目がタイプだとか、付き合うのに条件がいい相手だとしても、言いたいことも言えない関係ならまったく意味がないんです。

 パートナーへの不満が止まらないあなた! 不満はあっても、相手があなたの不満をきちんと受け止めてくれているのなら、それは素晴らしいパートナー。ささいなことで痴話ゲンカして仲直りできるなんて、むしろラブラブってことなのかもしれませんよ。

大切な人と過ごす時間がいちばんの幸せ

 これは、みなさんにいちばん伝えたい言葉です。

「大切な人」とは、なにも夫婦や恋人とは限りません。親や子ども、友人、気持ちよく仕事ができる相手や、かわいがっているペットでも、誰でもいいんです。あなたにとって「大切だ」と思える存在のことです。

 大切な人との時間は、ほかのどんなものにも置き換えることができません。でも時間は限られているから、永遠ではないんです。自分の手にあるうちはどんなに尊いものか気づきにくく、失って初めてその大切さがわかります。

 だからこそいま、余計なストレスに、大切な人との時間を奪われてしまうのはもったいない! そのことに気がついてほしいから、私はツイートを続けています。

「大切な人と過ごす時間さえあれば幸せ」

 これを自覚できるようになることが、幸せになるいちばんの秘訣(ひけつ)です。

(取材・文/植木順子)