サプライズ……じゃなくなったモン!?
この日、くまモンが来社してくれることは、フムニュー編集部員と部長、編集長以外には、基本的に秘密だった。フムニュー編集部があるフロアには、週刊女性編集部も在籍しており、コロナ禍のため出社人数は十数人ほど。みんなが黙々と仕事をしているところに突然、くまモンが現れ、音楽とともにダンスを披露し、各デスクをまわって部員たちを激励してくれる予定となっていた。
「みんな、驚いてくれるかな」「喜んでくれるといいね、くまモン」
不安と期待が入り混じった会話をしながらエレベーターを上がるご一行。ドアが開き、そろり、そろ〜りと編集部の扉の奥へ進もうとすると、そこには。
──なんか、めっっっちゃ人いる!!!!!
扉を開けるや否や、30〜40人を超える顔が、いっせいにこちらを向いた。編集Yがくまモンを迎えにいったときより、明らかに増量している。というか、『ar』や『JUNON』をはじめとして、7階メンバーでない顔ぶれも多数。全員総立ちで“くまモン迎え入れ体制”が整っており、くまモンがおずおずと足を踏み入れたとたん、「キャー!!!!!!」と鳴り響く黄色い歓声。もうなんか、超人気アーティストのライブで、待ちに待った本人が登場した瞬間のアレだ。続いて、間髪をいれずたかれまくるフラッシュ。一同、騒然だが、とにかく計画どおり突撃するしかないっ!
人々のアーチをくぐりぬけ、手を振るメンバーには全力で振り返すというファンサもバッチリこなしながら、真ん中にある広めのスペースにたどり着いたくまモン。
「可愛すぎる……(涙)」「初めて会えた〜感激しかない」「ハンパない、マジでハンパないんですけど!!」
鳴り止まぬ歓喜の声に被さるかのように、流れ出したBGM。きました! くまモンの十八番ソング『かモン!くまモン!』、踊っちゃうモン〜!!
かモン モンモモン 熊本〜(くまモン!)♪
おいしか楽しか気持ちよか(ほかっ)♪
いつも みんなで エイエイモーン!♪
ほんわかする歌詞と裏腹に、くまモンのダンスは終始、キレッキレ! 手を大きく振りあげ、すばやく回転、華麗なるステップ……その身のこなしに、全員くぎづけ!
「ピーヒャラ!」「パフパフ!」「カンカーン!」
どこから用意されたのか、ダンス終了とともに鳴り響く効果音。あたたかな拍手とともに編集部じゅうが熱気を帯びるなか、くまモンからメッセージが。
くまモン隊「今日はfumufumu newsさんの編集部へやってきました! このたび、くまモンにエッセイを書いてほしいというありがたいお話をいただきまして、くまモンが一生懸命、書かせてもらいました」
くまモン「たいぎゃ、がんばったモン!」(胸を張って大きくうなずく)
くまモン隊「ということで、今日はみなさんへのごあいさつと、ハッピー&サプライズをお届けするために東京までやってまいりました」
くまモン「編集部のみなさんにお会いできて、うれしかモン!」(両手をほっぺの下に持ってきて頭をフリフリ)
くまモン隊「短い時間ではありますが、くまモンと一緒に楽しい時間をすごしましょう」
くまモン「レッツゴー☆」(右手を高く上げながら)
この間、編集部に人が集まりまくったワケをひっそりと調査していた編集Y。どうやら、玄関でくまモンを見かけたとある部署のメンバーが、おったまげた様子で同僚に目撃情報を伝え、興奮した部員たちがそれぞれのネットワークで広めたところ、「くまモン来社!」のウワサがまたたくうちに全社を駆けめぐったという。照れながらもノリノリでファンサに応じてくれているくまモンを見ると、これも結果オーライ!?