“LINEは軽率”は時代遅れの認識に
一方、以前は“失礼?”と思うような行動が許容されつつある流れも。
「最近は、連絡ツールとしての地位が向上しているので、公的な連絡にLINEを使うこと自体が失礼だという感覚は薄れつつあります。普段から頻繁にLINEでやりとりをしている相手であれば、謝罪やお礼を伝える手段として利用しても問題ありません」
相手によっては、スタンプ1つで返事をすることも失礼ではないが、相手との距離感が微妙なときは、“OKです”、“了解しました”といった、丁寧語のスタンプがベター。使い勝手がよいので1つ用意しておくと便利だ。
すぐ返せないときは“未読スルー”が基本
また、未読・既読のマナーにも変化が。
「以前ほど“スルー”に抵抗がなくなってきています。“既読スルー”を冷たいと感じる人は減っていますが、それでも一定数はいますから、即レスできないときは未読にしておいたほうが無難。既読後は“今返信できないので、後で返信します”と一文送っておくと失礼がないです」
職場や地域活動などの複数人が参加するグループでLINEを使用する場合は、会話が円滑に流れるような振る舞いを心がけて。
特定の人にあてたメッセージだと表示する“メンション”や“リプライ”、コメントに反応できる“リアクション”といった機能(後述)を使いこなせると便利。
「1つの議題に対して、グループの全員が“OKです”と返信すると、スマホがLINEの通知で鳴りっぱなしになる煩わしさがあるので、最初から“OKのときは返信不要”などとルールを作っておくとスムーズですよ」
よかれと思ってなんでも丁寧に反応することが、逆にLINE上では迷惑になることもあるのだ。
便利機能をスマートに使う
「メンション」で誰へのメッセージか明瞭に
グループで特定の相手を指定して、「@(ユーザー名)」の形で会話を投げかけるメンション。
「指定された相手に通知されるので、質問に気づいてもらえない、ということを回避。ユーザー名に敬称は不要ですが、丁寧にしたい人はつけてもOK」
「リプライ」で逸れた話を軌道修正する
質問に対して返信をする前にどんどんトークが進んでしまったら、回答を送りたいメッセージをリプライ機能で引用して返信を。
「何に対しての返答かひと目でわかり、トーク履歴を延々とスクロールする必要もなくなります」
「リアクション」で会話をスムーズに
メッセージや画像に感情表現を表したアイコンで反応できる機能。「会話の流れを止めることなく、“いいね!”の感覚で特定のメッセージに反応できます。特にグループでの会話のときに便利ですね」
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LINEは気軽に使えるツールだからこそ、慎重さを欠いてしまいがち。“これが正解”というルールが曖昧(あいまい)なため、知らずに相手に負担をかけてしまう場合も。
「LINEのやりとりでいちばん嫌がられるのは、“空気が読めない”タイプ。対面のコミュニケーションと同じで、相手との関係性や年代も考慮してやりとりするのが、大人のLINE賢者です」
(取材・文/河端直子)
《PROFILE》
鈴木朋子 ◎ITジャーナリスト。スマホ、SNSなど身近なITに関する情報をメディアで発信。子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」としても活動する。著書に『小学生からのネットのルール』(主婦の友社)ほか