例えば、創業が明治6年で、日本最古のリゾートホテルと言われる栃木県日光市の「日光金谷ホテル」では、2003年にホテルの蔵の中から発見された「大正時代のカレーのレシピ」を再現した「百年ライスカレー」を売り物にしています。
これなど、「日本最古のリゾートホテル」「蔵の中から発見」「大正時代のカレーレシピ」と、「物語」のかたまりのようなものです。
売りたいものがあったら、それに物語を付加すればいいということです。
営業なら、お客様に対して、例えば「自分が扱っている商品が開発されるまでの秘話」を提供する。
あるいは、「この商品、テレビ番組の○○ランキングで、辛口の料理人たちから絶賛されて第1位にランクインしたんです」でも「俳優の○○さんが、いつも、差し入れ用に大量に買ってくださっているんです」だって、立派な「物語」ではないでしょうか。
「物語」の持つ効果を実体験
これまで、知識としては知っていた、この「物語」が持つ効果。
私は図らずも、少し前に、ある商品で実体験させていただきました。
その商品とは、私のデビュー本、『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』(アスコム刊)。発売は2012年9月ですから、書店に並んでからもうすぐ10年という本です。
これが昨年、「大谷翔平選手が、プロ野球入りして最初に参加した日本ハムファイターズのキャンプに持ち込んだ本」として、再ブレイクしました。
何度も重版がかかっただけでなく、発売10年目の今年、オーディオブックにもなったのです。
本の中身は、最初に出版したときと同じです。
しかしそこに、「メジャーリーグで大活躍し、MVPまでとった大谷選手が初めてのプロキャンプに持ち込んだ本」という「物語」が加わることによって、突然、消費者の購買意欲に火をつけたというわけです。
「物語」が持つ力、実体験させていただきました。
何かを売りたいときや、ブレイクさせたいとき。この「物語」の力を、ぜひ、意識してみてください。
(文/西沢泰生)