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お仕事

新卒で入社した会社を1年で辞めて好きな仕事へ、新感覚の仏教論でバズった若き僧侶の選択

SNSでの感想
稲田ズイキさん。29歳の僧侶であり、はにかんだ笑顔が印象的な好青年だ
目次
  • 君は編集の才能がある! その言葉を信じて働きたいと直訴
  • 会社勤めがつらいのは、人間関係。僧侶の修行は助け合い
  • モーニング娘。で自我が覚醒。ブッダAIで大バズり
  • 寺は沈みゆく斜陽産業。生き残る手段とは?

 新型コロナウイルス感染者数が増加のため、オンライン取材となった今回。定刻になるとモニターの画面には、若々しいパーカ姿の男性が現れたのだが……。この人が、40代も続く京都の寺の副住職!?

 彼の名は稲田ズイキ。京都府久御山町にある浄土宗・月仲山称明寺(げっちゅうざん しょうみょうじ)の僧侶であり、宗派を超えた僧侶らが集まって作ったフリーペーパーの編集長や、ハロー! プロジェクトのプロデューサーであるつんく♂の世界観を仏教で例えたテキストを書いて、バズって話題となった自称「煩悩クリエイター」だ。

君は編集の才能がある! その言葉を信じて働きたいと直訴

──袈裟(けさ)を着ているわけではないのですね。

みんなあの格好のままではないですよ(笑)。『fumufumu news』って主婦と生活社さんですよね。僕、新卒で就職したIT会社で、営業だったんです。主婦と生活社さんの広告枠の販売のお手伝いをしていたこともあるんですよ。でも僕は在籍期間が短かったので、仕事をほぼ学ばないまま辞めてしまったようなところがあるのですが……」

──ご実家がお寺ということで、子どものころから住職になるつもりでしたか?

「いろんなお寺が世の中にはあるのですが、うちは僧侶の仕事だけでは生活ができないお寺なんですよ。京都の田舎の小さな町にある寺なので、檀家さんの法事とかお布施だけではなかなか生活が成り立っていかなくて。うちの父もサラリーマンをしているし、おじいちゃんも役場で働きながら、住職していました」

──お寺を継ぐという予定がありながらも、就職は必然的だったのですね。どういう経緯で最初は就職したのですか?

「学生時代にブログを書いていたんですが、新卒で入社した会社の説明会を受けたときに、それを見た編集者から“君は編集者の才能がある”って言われたんです」

──稲田さんが新卒で入社された会社はウェブメディアも運営しているので、編集者としての道もあったんですよね。ブログにはどういった内容を書いていたのですか?

「モーニング娘。の歌詞を仏教的に読み解くっていう内容で、知らぬ間にバズっていたんです。最初は月間5PVだったのが、最後には5万PVくらいまで伸びて。それを見せたら、“2つの異なるコンテクストを結びつける能力がある。それが、編集の力”と言われたんです。編集が向いているならやってみたいと思ったんです」

──そこから内定につながるんですか。

「実はその編集者の人が“地元が京都なら、京都支社がバイト募集しているから行ってみなよ”って言ってくれて。説明会しか行ってないのに(笑)。しかも、“面白いからノンアポで、明日行ってみれば?”って言われたんです」

──それで、本当に行ったんですか?

僕の就活のテーマが”常軌を逸する”だったんです。文系大学院に通っていたので、就活で苦労すると周りから言われていたので、普通のことをやっていても受からないだろうなって思っていました。それで、次の日に京都の支社に行ったんです。会社って、受付みたいのがあると思ったら、扉を開けたら電話がポツンってあって、その奥がすぐオフィスで誰もいない。会社のオフィスの入口前で待っていたら、スキンヘッドの人がいたんです。“君と同じお坊さんがいる”とだけ聞いていたので、この人だと思って“バイトさせてください”って言ったら、ドン引きの表情をされて……。後で聞いたら、その人は“刺される”って思ったらしいですよ(笑)

──いきなり道場破りみたいな訪問ですよね(笑)。相手はどういった対応をされました?

“バイトしたかったら内定を取ってきなさい”って言われて。だから順序が逆になっているんです。就職したかったのにバイトに入るために就活を頑張ったんです。就職の面接でも“僕の強みは行動力です。次の日に訪問しました”って言ったら、説得力がありましたね」

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