生まれたときから引っ越し前提。転勤族の子どもの運命
──転勤族の旦那さんと結婚して、よかったことはありますか?
尾田「東京出身だったので、地方に住んだことがなかったんです。だから、自然のあるところで子育てできるワクワク感は強かったです。でも当初は、先のことを考えていなくて、結婚や転勤も勢いでしたね。息子が3人いるのですが、それぞれ母子手帳が違うんです(※母子手帳は自治体ごとの発行)」
──なるほど。このなかで、単身赴任を経験されたことがある人はいますか?
尾田さんだけ、挙手。
尾田「うちは、子どもの卒業まで残り少ない時期があったので、主人だけ半年先に行ってもらったことがあります」
──転妻のみなさん、意外と単身赴任を選ばず一緒に行かれる方が多いのですね。では、お子さんがいる方は、子どもに転勤をどう伝えていますか? 私は子どものころ、持ち物に住所を書く欄があると、親から「引っ越すから。数年しか住めないからペンで書くな」って言われていました。
入間川「うちには小学生の子どもが2人いますが、生まれたときから“あなたは転勤族です(だから当然、引っ越しがあります)”って、インストールしています」
全員「(笑)」
入間川「“あなたはいろんなところに行けるし、全国各地に友達ができるよ”って伝えています。隠しても仕方ないから、この生活を楽しんでいこうっていう考えです」
尾田「うちも同じように、子どもが幼いころから“ここには数年しかいられないよ”と伝えて過ごしています。うちの場合は、次の転勤先が決まってから2、3週間で引っ越すんです。突然すぎて自分もショックを受けることがあるけれど、子どもたちには、できるだけそれを見せないようにしていました。赴任先のガイドブックを見せて、“次は札幌だよ〜♪”って、うれしそうに言ってみたり(笑)。まずは自分がその状況を楽しんで、子どもに知らせていましたね」
──引っ越しを前向きにとらえるのですね。
尾田「ほかの人ができない経験ができるし、全国に友達も増える。人間関係もリセットできるって思うようにしていました」
信田「うちは子どもが小1と幼稚園なので、子どもたちの記憶があるなかでの引っ越しは1回(長野→埼玉)。長野で子どもが通っていた幼稚園は転勤族が多かったので、いつの間にか出たり入ったりが当たり前。子どもも“そういうものなんだな”って、最初のうちから自然と気づいていました」