つらい気持ちをTwitterで吐き出していた

──お二人はどこで出会ったのですか。

なつ「Twitterです。私が東大生だったころに、えもちゃん(えもりえも)が先にフォローしてくれて。いつの間にか相互フォローの関係になっていました」

えもずっと鬱っぽいツイートをしている東大生がいるなと、気になっていたんです

なつ「当時はつらい気持ちを全部Twitterに吐き出していました。学校でお友達といるときは笑顔で接することができるんです。でも、家に帰って一人でいると、どんどん落ち込んでいっちゃって。“早く死にたい。死にたい”って、寝る前に泣く。そんな暗い日々を送っていました

えも「なつぴが落ちこんでいるツイートを読んで、“私の中にもある気持ちだな”と共感して。そうしていつしか、なつぴを“助けたい”と思うようになったんです

「鬱っぽいツイートをしている東大生がいるな」と気になっていたという 撮影/吉村智樹

──なにがそんなにつらかったのですか。

なつ私、勉強ができる以外、なんの取り柄もないなって。私は中学時代からずっとアイドルに憧れていました。けれども、どこのコンテストやオーディションも通らなかったんです。さらに大学3年生、4年生になると年齢制限に引っかかり、オーディションを受けること自体できなくなりまして。夢が終わり、生きる希望がない。生きる理由がない。そんな精神状態でしたね

アイドルになりたくて東大を受験した

──東大に入る前からアイドルになりたかったのですか。

なつはい。アイドルになりたくて東大を受験したんです

──え! ど、どういう意味ですか。

なつ「中学時代に同級生から嫌がらせを受けて人生のどん底だったとき、“同じ小学校だった女子がAKB48に入ったよ”って噂を耳にして。“AKB? なにそれ”と思ってライブ映像を観てみたら、キラキラした女の子たちが愛されながら楽しく歌って踊っていて。“私がいるさびしい世界とはぜんぜん違う。私もここへ行きたい。人から愛されたい”と

──いじめにあった日々の中でAKB48が心のよりどころだったのですね。それが、どのように東大とつながるのですか。

なつ「AKB48や地元のSKE48などのオーディションを何度も受けたんです。けれども、ことごとく不合格で。“このままではアイドルになるのは絶対に無理だ。プラスアルファがないといけない”、“かわいくないし、歌も踊りもヘタな私の取り柄といえば、勉強しかない”と。だったらいっそ、日本で一番の大学へ行くのがいいんじゃないかと思って

「このままではアイドルになるのは無理だ。私の取り柄といえば勉強しかない」と東大進学を決意 撮影/吉村智樹

──アイドルの特技の一つとして東大を選んだのですか。でも、東大って簡単に入れないでしょう。

なつ「もちろん受験勉強はまじめにしました。ただ、もともと成績はよかったんです。勉強が好きなわけではなかったのですが、処理能力は比較的あるほうだったので、特にパズルのように解ける数学は得意でした。だから東大に入るのは、そんなに大変ではなかったです」

数学は「パズルのように解ける」ので得意だった。衣装の襟には数式が書かれている 撮影/吉村智樹

──東大生という肩書は実際、オーディションで有利に働いたのですか。

なつ東大生になって初めて3次審査まで進んだので、少しは効果があったのでしょう。でも厳しい。アイドルはそんなに甘くはなかったですね。“どんなに頑張って学歴を手に入れても、結局は評価されるのは、かわいい女の子なんだ”とすごく悔しかったです。アイドルなので学歴が関係ないのは当たり前なんですが。そんなふうに精神的に、いっそう荒んでいきましたね