学歴の暴力は、いることを許された場所

──学歴の暴力をやって、よかったですか。

えも「もちろんです。アイドルをやっていなかったら出会えなかった人たちとお話しできるのが楽しい。“えもちゃんは喋っている内容がおもしろいね”と言われたら、自分を肯定された気がして。パフォーマンスやビジュアルを褒められるより、MCや会話を褒められるほうが私には重要なんです。だから練習、めっちゃきらい。“でもステージを乗り越えたら、ファンのみんなとお話ができる。チェキが撮れる”と思いながら、いつも踊っています

なつ「私はステージで歌って踊ることが、とにかく楽しくて。やっと居場所を見つけた、そんな感覚です。心の中はコンプレックスだらけ。勉強以外、なにもできない。部屋はめちゃめちゃ汚いし。トイレの電球が1年前から切れているんです。けれど、換えられない。ずっと暗闇のトイレの中でじっとしてる。ライブハウスへ行く道もめちゃめちゃ迷う。えもちゃんがいないと辿り着けない。学歴の暴力は、生活能力がなくて人間生活がまともに送れない私がいることを許された場所ですね

今日もライブハウスのステージに立つ学歴の暴力 撮影/吉村智樹

「低い」「高い」と人生につきまとい、滑走路になる場合があれば、ときには障壁にもなる「学歴」。高学歴ゆえに傷つく日もあった二人。卒業証書という名の剣を手に、ライブハウスのステージに立ち、閉塞した社会へ斬りこもうとしています。「今まで真面目に生きてきた」彼女たちの今後の暴走に注目です。

(取材・文・撮影/吉村智樹)

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