『HEY!HEY!HEY!』に出演。あのモーニング娘。からの一言

──'99年にダウンタウンがMCを務める『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)に出演されたことも印象的でした。出演はどのようにして決まったのですか?

「『FACTORY』(注:'98年からフジテレビで放送されていた公開収録形式の音楽番組)に、結構呼んでもらっていたのですが、『HEY!HEY!HEY!』は『FACTORY』と同じチームという経緯で声がかかったんです。でも出演者の枠をうちのバンドか、ほかのアーティストかどちらかにするって言われて、『MIND YOUR STEP!』(スネイルランプの2ndシングル。オリコン最高7位)のオリコン順位で決めるって言われていましたね」

竹村哲さん 撮影/高梨俊浩

──当時は、GLAYや宇多田ヒカルさんなどミリオンヒットが連発されていた年ですよね。テレビに出ることはどう思っていましたか?

テレビ出るっていうのが嬉しかったというよりも、ダウンタウンに会えるほうが喜びとしては大きかった。でもテレビは出れば出るほど消費されるから、出すぎないようにしようって思っていました

──『HEY!HEY!HEY!』には、まさかの衣装が濡れたまま出演しようとしたそうですが。

「そうなんですよ。(渋谷クラブ)クアトロのワンマンからお台場まで車で行っていたら収録時間に間に合わないから電車移動で。雨が本降りでズボンの色が変わってしまったんです。僕ら衣装さんとかいないのでそのまま出ようとしていたんですが、モーニング娘。の飯田圭織さんが指摘してくれて

──ご自分では気づかなかったんですか。

「言われないと気がつかないほど素なんですよ。飯田さんが指摘してくれたおかげで、モー娘。のメイクさんチームがババって来てくれて、ドライヤーを持ってきてズボンを乾かしてくれたんです」

──よかったですね(笑)。番組内でもダウンタウンからお金の話を振られていた記憶があります。

“もうかってるらしいじゃん”って言われて。ちょうど新しい時計を買ったころで、ツッコまれましたね。あのときは、トークを“めっちゃ頑張るぞ”って思っていました。とにかくしゃべんないと始まらないって思ったから、頭のなかで何かがぐわーって回転するイメージ。おかげで松ちゃんから“ガッツあるな”って言われたんです(笑)

オールナイトニッポンのパーソナリティーを務めるなど、バンドマンの中でも特にしゃべりのうまさが際立っていた 撮影/高梨俊浩

好きだったバンド活動が、ストレスに

──順調そうに見えたバンド活動ですが、どうして活動休止されたのですか?

2002年9月で辞めたときは、本当にもう疲れちゃった。それまではバンドが好きで、ライブをやっていたんです。でもそれが、いつしか“ライブをやらなきゃいけない”とか、“バンドをやらなくちゃいけない”、“曲を書かなきゃいけない”になって。そういう状況に本当に疲れちゃって。喉のダメージも結構ありましたね。つねに声が半分、枯れたような状態でした

──当時のスケジュールも過酷だったのでしょうか。

「ツアーに出ると2日連続でライブをやらなきゃならなくて、1日やって1日休ませてもらえる状況じゃない。スタッフも多いし、ランニングコストがかかっちゃうんですね。休めても2日に1回はライブを続けていかなきゃいけないのがきつくて」

──好きだったことが、ストレスになっていったんですね。

そうなんです。喉のコンディションがストレスになっていた。つねに湿度のパーセントが気になり出しちゃったり。ちょっと病的になっていましたね

 インタビュー#2では、キックボクシングとの出合い、バンドとキックボクシング両立の葛藤、43歳でのチャンピオン獲得について迫る。

インタビュー#2【30歳でキックボクシングを始め、43歳で王者に。『SNAIL RAMP』竹村哲のくじけない生き方】はこちら

(取材・文/池守りぜね)

《PROFILE》
竹村哲(タケムラ アキラ)
1971年東京都生まれ。1995年にスカパンクバンド『SNAIL RAMP』を結成。2000年にリリースしたアルバム『FRESH BRASH OLD MAN』でオリコン1位を獲得するなど、一時代を築く。バンド活動と並行し、2001年からキックボクシングを始め、2014年10月に43歳の年齢でNKBウェルター級チャンピオンに輝く。2015年12月12日には後楽園ホールにて引退試合を行った。2021年にキックボクシングジム「TOKYO KICK WORKS」をオープン。