「無駄な時間がない起業家」の予定帳

 このユダヤ人の言葉、あなたはどう感じますか?

 ただの詭弁(きべん)だと思いますか?

 私もこの話をはじめて聞いたときは、「ちょっと、こじつけっぽいなぁ」と思いました。

 でも、あるとき、腑(ふ)に落ちたのです。

 それは、私がある起業家の方とお会いしたときのこと。

 その方は会社を数社経営されていて、オンラインサロンも運営、さらにビジネス書を何10冊も執筆されているという方で、日々のスケジュールは、まさに分刻み。

 そんな、どこから見ても多忙な社長さんとお会いした際に、話の流れでスケジュール帳を見せていただきました。

 その方は手帳に予定を手書きする主義で、スケジュールは日々、ほとんど真っ黒というくらいに予定がギッシリ。

 ところが、不思議なことに、1週間のなかに2時間とか3時間とか、ポッカリと予定が何も入っていない白紙の部分があったのです。

 その部分について私が「ここは予定が入っていないということですか?」と質問すると、こんな答えが!

「あっ、そこは、いつ飛び込みで新しい仕事の依頼があってもいいように、わざと『ヒマな時間』としてキープしているんです」

 この社長さんが、藤田さんの著書を読んでいたかどうかはわかりません。

 しかし、まさに本のなかのユダヤ人の言葉「ヒマのない人間はお金もうけなんかできません。商人は金を作ろうと思ったら、まずヒマを作らなくてはダメです」とビンゴな行動ではありませんか!

 私は、この社長さんの言葉を聞いて、「なるほど、あの本に出ていたのはこういうことであったか」と納得したのでした。

「ヒマな時間」がない人はチャンスを逃がす

 そうです。

 まったくヒマ……別の言葉で言えば「時間の余裕」がない人は、チャンスが目の前にきても、それをつかむ時間がなくて、それを逃してしまうのです

 チャンスとは、別にもうけ話に限りません。

 日々、仕事に追われている人は、もしかしたら人生を変えるような相手と会うチャンスがめぐってきても、時間がとれずに断ってしまうでしょう。

 成功のきっかけとなるセミナーへの参加も、時間がなくて見送ってしまうのです。

 もし、「忙しい、時間がない」が口ぐせになっていたら要注意。

 みすみすチャンスを逃がさないように、あえて「ヒマ」になる時間を確保しておくようにしてはいかがでしょうか。

 スケジュールが分刻みの方でも、強い意思があれば「時間の確保」は可能なのですから、やろうと思えばできるはずです。

(文/西沢泰生)

【参考:『ユダヤの商法』(藤田田著/ベストセラーズ)】