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人生100年時代。今や日本人のおよそ半分は50歳以上です。「NEOFIFTY」では、これから50代を迎える人にとって、その先にある老後が「終活の始まり」ではなく「新しい人生がもう一度始まる」と思えるように、素敵な生き方をしている人たちの言葉を紹介していきます。

NEOFIFTY -新50代の生き方-

勝村政信が明かす、蜷川幸雄と鴻上尚史に師事した壮絶な若手時代と“怒り”を手放した58歳の境地

SNSでの感想
勝村政信さん 撮影/吉岡竜紀
目次
  • 芝居をする上で、身体の衰えは嘘がつけない
  • 蜷川幸雄と鴻上尚史、それぞれ違う“闘いの稽古場”
  • 「芝居とサッカーは似ている」独自の考え方
  • 誰に対しても怒りの感情がわかない理由

 演劇界の巨匠である演出家の蜷川幸雄と鴻上尚史に師事した確かな演技力で、コミカルな役からシリアスな役まで巧みに演じ分け、舞台、テレビドラマ、映画で唯一無二の存在として活躍し続けている勝村政信さん。’90年代に一世を風靡(ふうび)したバラエティ番組『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)に出演し、親しみやすいキャラクターがお茶の間の人気を得て、その後は、俳優のみならずバラエティ番組やドキュメンタリーなどにも活躍の場を広げている。

 役者生活34年。50歳を過ぎて役者として年齢と向き合う自身にリンクすると語る舞台『ライフ・イン・ザ・シアター』が3月3日より上演される。劇場を舞台に、芝居に生きる俳優の悲喜こもごもを描いた二人芝居。年配で演技力のあるベテラン俳優を勝村さんが演じ、ベテラン俳優を慕い、日々役者としてさまざまなアドバイスを受ける若手俳優を高杉真宙さんが演じる注目作だ。現在58歳の勝村さんに、人生の転機となった3人の恩人との出会い、愛するサッカーのこと、生き方を変えた娘さんの存在、などについて語っていただきました。

芝居をする上で、身体の衰えは嘘がつけない

──まず、勝村さんが思われる今回の舞台『ライフ・イン・ザ・シアター』の魅力を教えていただけますでしょうか?

この舞台は、ベテラン俳優と可能性を秘めた若手俳優の成長物語です。その二人の立場が、時の流れとともにだんだん逆転していくんですね。僕自身もそうですけど、50を過ぎると芝居が実生活と結びついて、ドキュメンタリーになっていくっていう。芝居をする上で、年を取ると若いころとは違う意味で自由になりますけど、身体の衰えは嘘がつけないじゃないですか。そうすると本当に演技と役が、私生活の自分とじかに結びつくことになっていくので。今回の作品は、俳優の話ですからリアルです。そもそも二人芝居というのは何もごまかせませんから、非常に怖いものなんですけど、その中でも自分自身とすごくリンクしているので、特に怖い作品です

──そんなに衰えを感じられるものですか?

ホントに勢いってなくなってきますから(笑)。同年代の俳優同士で話していると、老いのスピードも同じだからそれほど気にならないんですけど、そこに若い子が1人入ると、もう肌艶ひとつとっても、“え! こんなにハリがあるの?”ってなる。『ドクターX〜外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)で医師役をやらせていただいてますけど、手術のシーンでゴーグルをつけると目の下についた跡が20分くらい取れないんですよ。でも若い子はへこみもしない(笑)。だから、まさにこの話とすべてリンクするので、演じながら身につまされることばかりですね」

『ライフ・イン・ザ・シアター』ストーリー

 劇団の看板俳優であるベテランのロバート(勝村政信)は、最近、劇団に入ったばかりのジョン(高杉真宙)に、今日もさまざまなアドバイスをしている。舞台とは何か、役者とは何か、演じるとは何か……その熱弁に、ジョンは熱心に耳を傾けていた。月日が流れ、初々しかったジョンも徐々に芝居を評価され、大きな役に抜てきされるなど順調にキャリアを築き始める。それとは対照的に、集中力や記憶力の低下など、ロバートは逃れられない老いに不安を感じ始め……。世代もキャリアも違う二人の俳優が、舞台上や楽屋裏、舞台袖や衣装部屋など、劇場のあらゆる場面で交わす、ときに切なく、ときにクスッと笑える、何気ない会話をオムニバス形式で描いたヒューマンドラマ。

『ライフ・イン・ザ・シアター』は現代アメリカ演劇界を代表する劇作家、デヴィッド・マメットがつづる、90分間の二人芝居

──今作で演じるロバートのように、若い俳優にアドバイスはされますか?

昔、蜷川(幸雄)さんとよく舞台をやっているころはそうでしたね。当時、蜷川さんが若手にあまり芝居をつけなかったので、“勝村、頼むな”っていう……。ひどいオヤジでした(笑)

──では、一緒の舞台に出演される若い俳優さんには、勝村さんが演技指導をされていたのですね?

「演技をつけるってわけじゃないんですけど。最近はあまりないですが、若手のみんなが舞台に高いハードルを感じていたときがあって。“舞台の芝居ってこういうものだ”みたいな考えを持っている子がわりと多かったんですよね。だから、もっと自由にっていうことを、まず説明していました。それで、その若い俳優たちが伸びていって逆転されてるみたいなことが多々ありますからね。“あ! 言わなきゃよかった”みたいな(笑)

──今作で共演される高杉真宙さんについては、どんな印象をお持ちですか?

「彼が中学生のころにドラマで共演したことがあったのですが。まあキレイな少年だったのが、そのまま成長されて。当時もそうだったんですけど、芝居もナチュラルで透明感があって、今もそのままですから。よくぞ、そのまま成長してくれたと思います」

──高杉さんとの二人芝居で、楽しみにされていることは?

この作品のオファーをいただいたときに、高杉くんの名前はあったので、迷いなくやりたいと思いました。共演して以来、一方的にですけど成長を見させてもらっていて、本当に立派になったなと感じていましたし。そういう意味では、余計なことを考えなくても気持ちが入っているので、芝居はやりやすいですね

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