スパサピで「今までの仕組みの脱却」を目指す!
──スパサピを立ち上げたきっかけは何でしょうか。
「堤さん、本広さん、佐藤さんという第一線で活躍している監督が、“自分たちは、本当に作りたいものを作れているのだろうか?”とおっしゃったんです。そんなことを聞いてしまったら、プロデューサーとしても、このままではマズイと思いました。それで、今までの仕組みから脱却する方法をやろうとなったんです」
──スパサピは、クラウドファンディング型プロジェクト支援サービス・FiNANCiE(フィナンシェ)のシステムを活用し、トークン(デジタル上の応援の証、ポイントのような数量があるもの)を応援者に購入してもらい、それを資金として、プロジェクトを運営していくシステム(※下図参照)」のようですね。このシステムのメリットは何でしょうか。
「運営側にとっては、主に『クリエイターに還元されるシステムで、オリジナルの作品を作れること』『製作委員会方式ではない資金集めができること』です。
購入者にとっては、『作品作りのプロセスに参加できること』『このプロジェクトの価値が高まれば、トークンの値段が上がってくる可能性があること』です。また、コミュニティ内で俳優オーディション情報やスタッフ募集をしているので、どんどん参加していただきたいです。
この4月は、堤さんが監督する作品の俳優オーディションを行います。なるべくこのプロジェクトの参加者(=スパサピのトークン取得者)から選びたいと思っています。役に合っていたら、事務所に所属しているプロに限らず、フリーの人でも起用したいです。堤さんから言わせると、日本語ができれば、国籍も不問です。作品が公開されたときに、観た人が“あの人誰?”と思って、ネット検索を始めるようなことが起こってほしいです」
──俳優の卵はもちろんのこと、エンターテインメントの仕事に携わりたい人も、このコミュニティに入ることで、チャンスが増えますね。ちなみに、トークン発行型は、通常のクラウドファンディングとはどう違うのでしょうか?
「通常のクラウドファンディングは、購入して特典を得たら終わりですが、トークン発行型は、トークンを持ち続けていただくことで、ずっと関係が続きます。持っているトークンは売ることもできるので、値上がりすればもうかる可能性もあります。トークンは、500円から購入可能です」
──購入者がトークンを売ることができるということは、運営費が変動しやすいとも言えます。それはプロデューサーにとっては、大変なことかもしれません。現在、どれくらいの資金が集まり、今後は、どのような展開を考えていますか?
「第1回トークン発行型ファンディングでは、サポート総額4589万円、サポート人数は1071人という結果になりました。
まずは集まった資金を使って、原作を作るところから始めています。(世界で人気が拡大しているデジタルコミックの)ウェブトゥーンを使った、スマホで読む縦読みの漫画を発表します。
現段階の資金だけで本編を作るのは難しいので、もしかしたら、どこかのプラットフォームと契約して、配信する権利を提供する代わりに製作資金を得るかもしれません。
ただ、今、準備している漫画がヒットすれば、『ウェブトゥーンの課金での収益』と『トークンの価値の上昇(=サポート総額の増加)』によって、映像の製作費をまかなえることもあるでしょう」