昔はトラウマだった! 意外すぎるジェットコースター男さんのバックボーン

大分県・城島高原パークの「ジュピター」に乗るジェットコースター男さん

──子どものころからジェットコースターには乗られていたんですか?

「実は、小さいころは怖くて乗れなくて……(笑)」

──え、意外ですね。

「2歳のころに東京ディズニーランドの『カリブの海賊』っていうアトラクションに乗ったんですけど、ほんの少しだけフワッと落ちる部分があるんですよね。マイナスG(※)がかかって、それがトラウマになっちゃったんです

(※マイナスG:ジェットコースター用語の1つで、身体が「浮く」状態になること。反対に重力がかかることを「プラスG」という)

──確かに2歳だと「フワッとする感じ」って怖いかも。しかし、よくそんな状況から「ジェットコースター男」になれましたね。

「ですよね。自分でも、なんでこんなにハマったのかよく分からないんですよ(笑)。

 ただ、小学生低学年くらいのころ、実家の近くに遊園地がありました。だから、ほかの人よりジェットコースターに近い場所で幼少期を過ごしたのは確かですね

──なるほど。

「遊園地の外からでも、ジェットコースターに乗ってる人が見えるんですよ。みんな悲鳴とともに落ちていくわけじゃないですか(笑)。その状況を見るのがなぜか好きで、たまにひとりで見にいくこともありました。母と車で買い物をするときも、“お母さん、ちょっと遊園地に寄って”って。入りもしないのに(笑)」

──自分がトラウマになったからこそ、逆に興味がわいたのかもしれないですね。

「あぁ、言われると確かにそうかもしれません。自分が乗れないからこそ、楽しんでいる人に“憧れ”みたいなものがあったんだと思います。そこで今に至る原体験が植えつけられたのは間違いないですね。

 それで、もう小学生のころから、すでにジェットコースターの虜(とりこ)でした。旅行雑誌のジェットコースター特集のページだけをずーっと読んでいました。それで、アメリカの『シックス・フラッグス・マジック・マウンテン(※)』に行きたい、とか思ったり……

(※ジェットコースターに特化した破天荒すぎるテーマパークで、「聖地」と呼ばれることもある。園内には19機のジェットコースターが存在〈2022年6月現在〉)

──当時からジェットコースターのことばっかり考えていたんですね。

「だって僕、小学生のとき、ノートにジェットコースターの落書きしてましたもん(笑)」

──そんな小学生、見たことないです(笑)。でも、トラウマは残っているわけですよね。

「それなんですけど、小学5年生のときに友だちと実家の近くの遊園地に行くことになったんですよ。当然、“ジェットコースターに乗ろうぜ”ってなるじゃないですか。僕は“無理。死ぬ”って思ってたんですけど、断り切れなくって……。冷や汗ダラダラで乗ったら、意外といけちゃったんですよね(笑)。

 憧れのジェットコースターを克服できて、気分は“ヤッター!!”ですよ。終わったらまた列に並んで、を繰り返して(笑)

──おぉ、それは大きな転機だ。トラウマ発生から約10年後に解消したわけですね。

「はい。ただ、そのあとは強豪校のスポーツ推薦で高校・大学と進学したんです。だから部活漬けの日々で、高校生のときなんて年に2、3日しか休みがなくて。修学旅行にも行かずに練習していたくらいで……

──厳しすぎる……。もうジェットコースターどころじゃない。

「そうですね。もう当時、部活でやっていた競技に洗脳されてたというか……。しばらくジェットコースターのことを考えることもなかったですね。また乗り始めたのは、競技をやめたあとです」

──そこで始めて、時間にゆとりができたんですね。

「はい。自分の時間ができたときに、ふと“……ジェットコースターに乗りたいなぁ”って」

──“洗脳”が解けたときに、頭に「ジェットコースター」が浮かんだのがすごいです。やっぱり人生のなかでも印象深かったんでしょうね。

「そうだと思います。それで、仕事の合間に国内のジェットコースターを攻めていったんですよ。まずは“最新の機種”とか“スピード日本一”とか、スペックが高いものから乗り始めました。

 海外のものは、最初は“旅行のついでに乗る”くらいだったんですけど、それがだんだんと、“ジェットコースターに乗りたいから海外に行く”にシフトしてきて……(笑)。

 でも、コロナ禍になって海外に行けなくなったんですよね。それで、“国内のジェットコースターをすべて回ろう”と。行動規制が解除されたタイミングで、国内各地のジェットコースターに乗るようになったんですよ」
 

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 インタビュー第1弾では、ジェットコースター男さんが「なぜこんなにもジェットコースターの魅力にとりつかれたのか」についてお届けした。第2弾では、ジェットコースターの魅力そのものについてインタビュー。常人では知り得ない、深すぎるジェットコースターオタクの世界を教えてもらった。

(取材・文/ジュウ・ショ)


◎ジェットコースター男さんTwitter→@jetcoasterotoko