Perfumeをブレイク前から応援。アイドル文化の向上に貢献
──掟さんといえば、アイドルに詳しいことで有名で、ブレイク前からPerfumeやBerryz工房を応援されていました。そのような人気が出そうなアイドルはどうやって見つけているんですか?
「人気が出そうだから好きになるって、そんな不純な(笑)。俺は単純に曲がいいと思っているから聴いているんですよ。Perfumeは、2004年12月のワンマンライブの時、アミューズのマネージャーさんから“衣装替えの時間が20分発生しちゃうから、その間出てくれないか”って言われて。そこからイベントの司会をしたり、仕事上の絡みがあったのが最初のきっかけだったんです。
音楽もクオリティが高くて非常にいいものだし、“これ、秋葉原とかのオタクだけのものにしておくのはもったいないな”と思ったんです。それで俺が新宿ロフトだとかのライブハウスにブッキングして、オタクじゃない層にも見てもらうことで、広く一般に浸透させていこうとしましたね」
──ハロー! プロジェクトも今は、女性ファンが増えていますよね。
「ハロプロのファンクラブの会員も、今は6割が女性になったらしいですよ。俺が熱心にライブとか見に行っていた頃は、女性が5%ぐらい。だからファンは全員顔見知りで、名前も知ってるみたいな」
──どうしてここまでアイドル文化が一般に認知されたと思いますか?
「たぶん、アイドル文化って'90年代頃に一度(応援していることを公言することが)恥ずかしいものみたいな存在になっちゃったんですよ。そこから回復させて、文化として素晴らしいものだと伝えるべきっていうのは考えていました。ハロプロって、女の子たちもかわいくて音楽もかっこいい。“これがいかに面白いか”ということを人に伝えたかったんです」
──以前は世間一般では、“アイドル好きは若い女性が好きな人”というイメージがありましたよね。
「当時は若い女の子が歌ったり踊ったりすることを、大人の男性が見るっていう構図は、世間からしたら女性アイドルのことを性的な対象として見ているんだなっていう観点でしか理解できなかったんですよ。
昔、メロン記念日のイベント帰り、ファンのみんなと中華料理屋に行ったら、年配女性の店員が注文を取りに来て、“今日は何の集まり?”って聞いてきたんです。俺らが“アイドルのイベントがあってそれを観に行ったんです”って伝えたら、“そうか変態ども、何食う?”って(笑)。でも当時はそういう世界で、音楽として聴いてるっていうのを理解してもらえなかったんですよ」
──そのような状況でも、アイドルのよさを伝えていましたよね。
「アイドル文化に対しての理解がない人たちに、そのよさをいかに説明するかってことなんだけど、そのハードルが一番高いのがBerryz工房だったんです。小学生の女の子がやっていることを、成人男性がいかに面白おかしく伝えるか。今はアイドル文化って、ちゃんと世界に冠たるものになっていったと思うんですけど。でもその頃はやっぱり、小学生のアイドルグループの応援に熱狂するなんてのは世捨て人の嗜み(たしなみ)ですよね(笑)。理解されなくて当然」」
──今は少しずつ、アイドル文化が世間にも受け入れられていますよね。
「今の若い世代の人たちは子どもの頃からアイドルがいたから、アイドルを応援することに抵抗がなくなってきている。あとはもう“かわいい”だけの時代じゃなくなったってことですよね。Perfumeを見た時に、“音楽がいいから俺たちは聴いているんだ”と主張しても世間を納得させられるものだと思ったんですよね。周りにも、音楽が素晴らしくて聴いているということを理解してもらえるようなクオリティのグループが出てきたのも大きかったんでしょうね」