ストレスをためない生き方を選んだ理由

──第1弾でもお聞きしているんですけれど、掟さんはプロレスやアイドルについて文章を書いたり、好きなことを仕事にしています。仕事をクビになったりしながらも、好きなことを続けられた理由って何だと思いますか?

俺はいらない苦労はしなくていいんじゃないかなって思うんですよね。明らかに“しなくていい苦労”をしている人っていると思うんですよ。俺は子どもの頃から尿管結石が持病だったんですけど、どうやらストレスがたまった時になりがちだっていうことに気づいたんです。だからストレスをためない生き方をしなきゃって思ったことが大きかったですね

──尿管結石は、何回くらいなっているんですか?

「12歳、18歳、25歳の時で計3回ですね、左右の尿管に石が7個ずつ入っていたんですよ。だから精神的に厳しくなりそうだったらすぐ職場を変えるとか、人間関係を変える。身体がそう反応しているから、しょうがない。何かあっても我慢するっていう人が多いけど、それより再スタートを早く切ったほうがいいと思うんですよ

掟ポルシェさん 撮影/山田智絵

──好きなことで食べていくって、みんな興味があると思います。こうすればいいというアドバイスはありますか?

俺はたまたまくだらないことに才能があって、そのくだらないことで何とかほそぼそと食っていけているだけだから。運がいい。いい時代ですよね。俺が何かやったらお金をくれるって人が全国に何人かいるんですよ」

──ご自分のファンって、どれくらいの規模だと思っていますか?

俺がイベントやってもそんなに人来ないよ(笑)。毎月、高円寺でイベントをやっているけれど、毎回決まって来る人って10人くらい。これは根本敬さん(漫画家)が言っていたことだけれど、全国に自分のファンが500人いて、その500人のためだけに描いているんだって。万人受けするものは絶対作れないのがわかっているから、500人を対象にクオリティを担保する。俺の場合は、たまたま特殊能力がちょっとあって、その特殊能力を必要としてる人が全国に100人ぐらいいればいいところじゃない

──もっといますよ!

「潜在的に“ちょっと好き”みたいな人が増えていったらいいなってくらい。あとは、俺、頭がよくないから。事務作業できないからね。頭がよくないぶん、人柄はよくしておいたほうがいいって思ってる。普通に挨拶するとか、人当たりがいいってすごく重要ですからね。30歳過ぎてくると、特に男の人は優しいだけで意味があったりするから。優しいだけで価値があるってことは、もっとみんなわかったほうがいいよ

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 ライブやDJでの奇をてらったパフォーマンスとは違い、一度、ステージを降りると腰が低くて優しい掟さん。彼のサービス精神旺盛な人柄がにじみ出ている文章やトークは、これからもファンを魅了し続けるでしょう。

(取材・文/池守りぜね)

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〈PROFILE〉
掟ポルシェ(おきて・ぽるしぇ)
1968年北海道生まれ。1997年、男気啓蒙ニューウェイヴバンド、ロマンポルシェ。のボーカル&説教担当としてデビュー。音楽活動のほかに男の曲がった価値観を力業で文章化したコラムも執筆し、雑誌連載も『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)、『UOMO』(集英社)など多数。2018年に発売した著書『男の! ヤバすぎバイト列伝』(リットーミュージック)は重版されてヒットとなり、各所で話題を呼ぶ。最新刊は『食尽族〜読んで味わうグルメコラム集〜』(リットーミュージック)。そのほか俳優、声優、DJなど活動は多岐にわたる