「愛のかたまり」がついにトップに、「薔薇と太陽」も次々と話題を呼ぶ!
2015年は、7年連続2位だった「愛のかたまり」がついに1位に! これは前年のアルバム『M album』にバラード・バージョンとして収録され、また2014年末の『ミュージックステーションスーパーライブ』(テレビ朝日系)でも歌唱されたこと、さらにはジャニーズJr.のみならず、Hey!Say!JUMPの山田涼介、A.B.C-Zの橋本良亮、ジャニーズWESTといった後輩がメジャーデビュー後もテレビでカバーしたり、名曲だと語ったりしたことも大きいだろう。
なお、『M album』収録のスローなバージョンは、カラオケ人気曲32位となった。『M album』には、イントロに雨音をフィーチャーしラテン風にアレンジした「雨のMelody」も収録されているが、この効果もあって同曲も前年から2ランクアップし、8位となった。
そして2016年は、同年7月発売の新曲「薔薇と太陽」が12位に初登場! この5年間では最も高い順位であり、ファンにとっても会心の一作だったのではないだろうか。
本作の作詩・作曲はTHE YELLOW MONKEYの吉井和哉が手がけ、彼が得意とする退廃的かつ妖艶な世界観を、KinKi Kidsが得意とする歌謡ポップスにうまく落とし込んでいる。編曲に歌謡界の大御所、船山基紀を起用したことも大きい。また、ジャケット撮影は俳優の斎藤工が担当し、モノクロ調の味わいある写真も話題を呼んだ。
さらに話題だったのは、ふたりによるTVパフォーマンスで、剛のほうがバンドメンバーと一緒に激しくギターを奏でつつ、光一はダンサーたちと激しく踊りつつ、その上でふたりで歌うという、ジャニーズのみならず、J-POP界全体を見渡しても有り得ないスタイルでその音楽性を体現した。このインパクトの強さから、カラオケで歌ってみたいと思った人も少なくないのではないだろうか。また、この影響からか、2001年の「情熱」や1999年の「やめないで,PURE」など、「薔薇と太陽」同様赤いイメージのギラギラしたアッパーチューンも伸びている。
こうして見ると、活動が少ないと思えたこの時期さえも、KinKi Kidsワールドを広げた作品が確実に出ており、また、それに伴って旧来の楽曲も再評価されていることが分かる。その甲斐(かい)あって、2016年にはファン待望のNHK紅白歌合戦に初出場を果たし、デビュー曲「硝子の少年」を披露した(1999年にコーナーゲストとして「フラワー」を歌唱した出演もあるが、正式では初)。
以前のコラム(『KinKi Kids、ギネス記録に隠れがちな堂本光一と堂本剛の“本当にスゴイ部分”』)でも書いたが、タレントパワーランキング(名前や顔を知っている“認知率”と、見たい・聴きたい・知りたい“誘引率”を掛け合わせたスコア)の調査結果を10代から60代まで幅広く見ると、KinKi Kidsはジャニーズの中でトップレベルで、なおかつ今年は各メディアで大きく盛り上がっているので、6年ぶりの出場を大いに期待している。
《取材・文/臼井孝(人と音楽をつなげたい音楽マーケッター)》