フムフムな発見4:羽があるけど、ゴキブリは空を飛べない?
──ゴキブリは何種類いるんですか?
「世界には約4600種類のゴキブリがいるのですが、日本に生息しているのはそのうち63種類です」
──ゴキブリだけで4600種類もいるのにまず驚かされますが、日本だけで63種類ものゴキブリがいるんですか?
「はい。でも、その中で、害虫として家の中に入ってくるのはわずか4~5種類だけなんです。そういうゴキブリは飛ぶのは得意ではありません。虫ケア用品を噴霧したときなど、羽を広げているところをご覧になったことがあるかもしれませんが、鳥のように飛べるわけじゃないんです。ただ、グライダーのように、高いところから低いところへ滑空をしています」
──沖縄では大きいゴキブリが空を飛んでいたりしますが。
「野外で生息するゴキブリの中には、飛行できる種類もいます。そういうゴキブリは、羽のつけ根にある『翔筋(しょうきん)』という筋肉が発達しているんです。野外にいる“モリチャバネゴキブリ”は、飲食店などに生息している“チャバネゴキブリ”と姿形がそっくりですが、飛ぶ能力が全然違います。チャバネゴキブリは飛べませんが、モリチャバネゴキブリは2~3メートルぐらい飛びます。
ちなみに、見た目は全く同じでも、チャバネゴキブリは害虫ですが、モリチャバネゴキブリは害虫ではありません」
──害虫になるゴキブリが飛べないのなら、高層マンションに住めばゴキブリは入って来ない?
「遭遇しないとは言い切れませんが、確率は低くなります。でも、高層マンションの上層階に住んでも、ゴキブリは壁をよじ登っていきます。
ゴキブリの脚の先には爪の他に、吸盤のような働きをする褥盤(じょくばん)があります。褥盤は粘着物質に覆われているので、ガラスでもペタペタと吸い付きながら登れるし、天井に張りつくこともできるんです」
──空を飛べなくても、壁をよじ登って来られたらお手上げですね。
「荷物に紛れ込んで侵入することもあるんですよ。引っ越しのときなどは要注意です。たとえばタンスの裏などにゴキブリが卵を産みつけていた場合、それに気づかなければゴキブリの卵ごと新居に移ることになります。だから引っ越しのときは、家具の裏まで注意したほうがいいですね」
──高層階に住んでいても、油断はならないですね。
有吉さんの解説で、ゴキブリの本当の姿の一部がわかりました。わずかな隙間から侵入したり、引っ越しの荷物などに紛れ込んでくるなど、生命力の強い生き物です。次回は“食いしん坊”なゴキブリの習性に迫ります。
◎第2回:【Gの生態#2】ゴキブリ退治は、“なんでも食べる”習性を利用する(8月26日18時公開予定)
(取材・文/久保弘毅)