いいジムかどうかを見極める方法
──格闘技やキックボクシングに女性が興味を持つようになってきていますが、女性も戦ったりすることに向いていますか?
「僕は男性よりも、女性のほうがキックボクシングに向いているなって思うんです。例えば、ケガのしやすさでいえば、男性のほうがしやすい。なぜなら男って人の見ていないところでシャドーボクシングした経験がね、必ずあるんですよ(笑)」
──はい。ドラマや映画などで男性の登場人物がシャドーするシーンも多いですしね。
「男性は自己流のフォームが身についていて、殴る力はあるんだけれど、関節が殴られるショックに慣れてない。最初はそこまで身体ができていないので痛めちゃうんですよね。でも女性は基本的に、男性みたいに殴る動作っていうのをしたことがないから、フォームを教えるとめっちゃキレイにできるんですよ! 」
──そうなのですね!
「レクチャーすると、教えたとおりにやってくれる。女性はめちゃくちゃ伸びがいいストレートを打ったりできる」
──でも女性のほうが、普段から運動が苦手というタイプも多い気がしますが……。
「運動が苦手っていう人も、もちろん多いんです。でもそれが普通なんですよ。うちのジムに来る方も、9割ぐらいが未経験で入ってきます。
そういえば、いいジムかどうかを見極めるいい方法があるんです。例えば、“キックボクシングは身体をひねる動作が多いから、ウエストのシェイプアップに最適です”、みたいなことを言っているジムはあまりおすすめできないですね……。もちろん大きな意味で捉えれば合っているんですけど、ウエストを動かしたからといって絶対にウエストが細くなるわけではないんですよ。単純に運動量や消費カロリーが増えた結果、身体のどこかのぜい肉や脂肪が落ちる。でもどこの部分が落ちるかは人それぞれなんです」
──あからさまにダイエット目的をうたっているジムは、気をつけたほうがいいのですね。
「あと練習メニューですが、うちのジムでは常に会員さんの様子を見てるので、“ちょっとやりすぎてるな”とか“頑張りすぎてるな”って時は、“上がりましょう”って声をかけます。ジムの利用方法も、ストレッチだけして帰る方もいる。がっちりキックボクシングをやりに来ていますって人でも、1時間くらい。アマチュア選手とかになると2時間練習っていうのもありますけどね」
──思ったより短い練習時間でいいのですね。
「ジムに通っている人の悩みでよく聞くのが、“今からジムに行っても30分しか時間がないからなあ……”と言って、行くのをやめちゃうんですよ。でも30分あるんだったら行ったほうがいいんです。2回行けば1時間だし、3回行けば1時間半になるんです。それがね、1か月、2か月たってくると、めちゃめちゃ差が開くんですよ」
竹村さんのお話を聞いていると、実際にキックボクシングをやってみたくなりませんか? 後編では、fumufumuニュースの編集部員とライターが体験してみました!
(取材・文/池守りぜね 取材協力/TOKYO KICK WORKS)
《PROFILE》
竹村哲(タケムラ アキラ)
1971年東京都生まれ。1995年にスカパンクバンド『SNAIL RAMP』を結成。2000年にリリースしたアルバム『FRESH BRASH OLD MAN』でオリコン1位を獲得するなど、一時代を築く。バンド活動と並行し、2001年からキックボクシングを始め、2014年10月に43歳の年齢でNKBウェルター級チャンピオンに輝く。2015年12月12日には後楽園ホールにて引退試合を行った。2021年にキックボクシングジム「TOKYO KICK WORKS」をオープン。