年の差52歳のヒップホップユニット『赤ちゃん婆ちゃん』。
孫であるMC玄武の20歳らしい若々しく勢いのあるラップと、玄武の祖母・72歳のMCでこ八のハスキーボイスから織りなされる、和と渋さを取り入れた音源は、ヒップホップシーンでも異彩を放ち、人気を博しています。
インタビュー後半は、赤ちゃん婆ちゃんのパフォーマーとしてのプロ意識、そして今後の展望について伺いました!
(赤ちゃん婆ちゃんの誕生秘話ついては、インタビュー第1弾で語ってもらいました→年の差なんと52歳!72歳の婆ちゃんと20歳の孫によるヒップホップユニット『赤ちゃん婆ちゃん』、結成は「完全に勢い」)
「ただの年寄りならやめた方がいい」祖母のプロ意識に、孫はなにを思う
──今は元気なでこ八さんですが、レベル1の肺がんやシェーグレン症候群という難病などで、体調を大きく崩していたそうですね。
MCでこ八(以下、でこ八)「そうですね。痛みで歩けなくて、這(は)ってトイレに行くような状態だったし、2012年の4月ごろからは、本当に動けなくて寝たきりのときもありました。でも痛み止めの薬をもらってラップしたら、体調がよくなりました。先生にも“快方に向かってる”って驚かれました」
──ライブって、けっこう体力を使いますが、それで体調がよくなったというのもビックリする話ですね。
でこ八「ステージに立ったら忘れるんですよ。あと、そんな痛みで苦しんでる顔を見せたって誰も喜んでくれない。だったら明るい顔で楽しくやるべきだという気持ちのほうが勝つんです。“なんや、ただの年寄りやん”って言われるくらいなら、やめた方がいい。やる以上は、若者にも負けないものを身につけなきゃいかんなと思ってます」
──ラッパーとして、パフォーマーとしてのプロ意識がすごい。
でこ八「私の役割は客を盛り上げることだと思ってますしね。バトルもライブも、観客に笑顔になってもらわないと。私はラップがへたくそやけど、うまいラップは孫(玄武)がやればいい。“このコンビ面白いなぁ”って思ってもらうことで、赤ちゃん婆ちゃんは成り立ってると思います」
──スキルは玄武に任せて、おばあちゃんは言葉の重みで盛り上げていくと。
でこ八「玄武もそれを求めてるし、あとはイベントで、シーン......ってなってるところに出ていってもやりにくいじゃないですか。その空気をひっくり返すのが私の役目です。赤ちゃん婆ちゃんを知ってくれている人の期待を裏切らないように、そこは仕事として絶対にやり通します」
──かっこいいです......。玄武さんの目には、でこ八さんはどう映っていますか?
MC玄武(以下、玄武)「ステージに立ったときの貪欲さとか、堂々とした立ち居振る舞いは見習いたいなって思います。同世代のラッパーには、1回のステージに覚悟を決めるようなライブってそこまで多くないし、かつてのでこ八(第1弾参照)のように、“舞台の掃除するから出させてくれ”っていうような若手も見ないので。そのあたりの覚悟は、自分のなかにも取り入れたいです」
──玄武さんがラップのスキルを磨くにあたって、参考にしている人はいますか?
玄武「よく海外のラップを聴いています。参考にしている人はいっぱいいますけど、前はアメリカで人気のAMINEさんをよく聞いていました。ただ、日本には日本のラップがあるし、日本語ならではのリリックを書けるようにと意識をしています」
──発表されている曲の歌詞も玄武さんがメインで書いているんですか?
玄武「歌詞はでこ八が書くんですよね。基本的にでこ八がテーマを持ってきて、まさに詩を書くようにでこ八が作ってくれています。あとは2人の掛け合いがある曲はそれぞれのパートをそれぞれ個別で書くんですけど、でこ八に先に書いてもらって、そこに合わせるかたちで自分が書くことが多いです」
──1曲あたりどれくらいのペースで制作をされているんですか?
玄武「昨年は1か月に1本出していましたね。まぁ、今思うと、なかなかのハイペースだったんで、音源制作者さまさまですね。その方も、デビュー初期からお世話になっているHIDADDYさん(第1弾参照)の友人なんです。紹介してもらって協力していただいていて、本当にありがたいです」