自動販売機が愛おしすぎて、擬人化に

──自動販売機のオタ活って、具体的には何から始めたんですか?

「まずはとにかく筐体の写真を撮りまくりました。よくある、コカ・コーラとかBOSSのパッケージじゃない、珍しいものを見つけては写真を撮っていましたね」

──ちなみに今までどれくらいの写真を撮ってきたんですか?

1万枚以上です」

──ヤバすぎますね(笑)。ちょっと私はまだ未熟なので筐体の魅力がわからないんですが、どこに萌えるんですか?

「あの、ひっそりとした"たたずまい"が、かわいらしいというか。例えば秋葉原に株式会社えひめ飲料のビルがあって、ビルの前にポンジュースの自動販売機が1台だけポツンといるんですよ

 あの子は誰にも褒められることもないのに、土日も休日も関係なく、ひたすら会社を代表して立ち続けているわけじゃないですか。その姿に"孤独感"があって、愛おしさを感じるんです。もう今となっては、逆に“なんでかわいいと思えないのか”がわからないです

秋葉原駅近く・株式会社えひめ飲料のビル前にあるポンジュースの自動販売機

──あぁなるほど~。それはわかる気がする……。

キリンさん、アサヒさん、サントリーさん……みたいに5台くらい並んでいる筐体もいいんですよ。あれはどっちかというと"大学生のグループ"って感じですよね。楽しそうに会話をしながら、お客さんに飲み物を渡しているみたいな」

──なるほど(笑)。ちょっと一気に自動販売機が愛らしくなってきました。もう石田さんは、頭の中で自動販売機を擬人化しているわけですね。

「はい。私は“自動販売機は人と同じように接するべきだ”と思っています。例えば“ボタンを押す”という行為は、人間と自動販売機との最初の触れあいです。つまり握手ですよね。だからちゃんと丁寧に押してあげないと失礼にあたります。

 で、きちんと押してあげると、メーカーごとにボタンの押し心地が違うことに気づくんですよ。例えばacureさんの自動販売機は指2本で押すと“プチプチ”と2回押し込まれる感覚がある。指1本だとこれは味わえないんですよ。こうした具合に、自動販売機で購入するフローを丁寧に見直すことで、次々に新しい魅力に気づけるんですよね」

acure自販機のボタン。よく見ると青と赤のボタンの他に「紫」のボタンがあるが、これは常温の飲み物

──なるほど。いや、そう考えると、自動販売機で購入する行為は、コミュニケーションですね。

「そうとらえてもらえればと思います。また商品を出す際にも、乱暴に開けるのではなく優しく取り出してほしいです。例えば1本1本取り出さずに2本同時に買って取り出すと筐体が傷んでしまう。それは失礼だし、かわいそうですよね。ちゃんと1本ずつ優しく取り出すのがマナーです