80‘sを通じて、海も超えて交流を広げたい

──声優として今の音楽シーンらしい楽曲も歌っていますが、80年代と現代のポップスの違いを分析するとどうなるんでしょうか?

「ひとつは歌の世界が外に向くか内に向くか、でしょうか。今は世の中に自分の思いをぶちまける曲が流行(はや)ったりもしますが、80年代は失恋でもほかの何かでも、個人的な体験を歌詞に込めて、歌の中でそのドラマが完結する印象があります

──そう聞くと、昔のポップスは私小説的なのかもしれません。

それと、2020年代の曲はフレーズが長いんです! 説明的というか。それに比べて80年代は同じサウンドやフレーズを繰り返して刷り込むようにリスナーに迫ってきます。世の中に受けるキャッチーさも変わってきていますね」

──声優界の中でもなかなかユニークな路線を選んだと思いますが、ソロデビュー後に変化はありましたか?

「収録の現場でも話題にしてもらえるようになりましたし、ソロアーティストの武藤彩未ちゃんとは80年代好き同士で仲よくなってライブで共演したり、歌詞を提供したりする仲です。ほかにも当時の楽曲をリミックスしている韓国のプロデューサー兼DJのNight Tempoさんとも知り合えたり……交友関係が広がって80年代オタクのオフ会みたいなコミュニティーができています(笑)

2022年7月に行われたライブにて 写真提供/Purple One Star

──近年、海外で80年代のシティポップがブームになって、そこから日本国内でもシティポップが脚光を浴びるようになりました。降幡さんの音楽活動にも追い風が吹いているように思います。

「海外のアーティストの80年代愛もすごいんですよ。インドネシアのIkkubaru(イックバル)や、アメリカのジンジャー・ルートなど、シティポップにフィーチャーしたバンドが活躍していますから、そういった方々とレトロカルチャーを介してご縁があればなと。

 あとはやはり……菊池桃子さんが憧れなので、私のこの80年代愛が届いて、お会いできるとまたひとつ夢が叶(かな)ったといえるかも。80‘s カルチャーを共通語にして、みなさんとつながって、可能性を広げていきたいです

レトロポップなデザインに仕上がったカバーアルバム『Memories of Romance in Driving』 のジャケット

(取材・文/大宮高史)

《PROFILE》
降幡愛(ふりはた・あい) 2 月 19 日生まれ、長野県出身。 2015 年に『ラブライブ!サンシャイン !!』の出演が決まり、黒澤ルビィ役で本格声優デビュー。同作品のスクールアイドルグループ・Aqours のメンバーとして活動し、‘18 年には東京ドーム 2Days のライブにて、国内外ライブビューイングを含め 15 万人を動員。’19 年には、自身初となる写真集『降幡愛写真集 いとしき』を発売する。‘20 年 9 月 23 日にデビューミニアルバム『Moonrise』をリリースし、レーベル「Purple One Star」よりソロアーティストデビュー。’22 年 4 月には初のカバーミニアルバム『Memories of Romance in Summer』を発売し、同年11月にはライブツアー『3rd Live Tour ~愛はハイテンション~』を大阪・東京で開催予定。
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