'16年のアルバムもランクイン。幅広い年代のカバー曲が支持を集める理由は？
さらに、'16年のカバーアルバム『GET BACK YOKO!!』から4曲もTOP20入りと、当時のカバーのみならず、近年のレコーディング曲も人気となっている。
「若い女性には、プロデューサーの推薦で入れた『あなたに負けたの』（小山ルミ）が人気ですが、私自身は『虹色の湖』（中村晃子）と『夏の日の想い出』(日野てる子）が大好きですね。中村さんが『ちんころ海女っこ』という映画を私の故郷、八丈島で撮影したときに共演された俳優さんたちに遊んでもらったのと、日野てる子さんを八丈島の空港で見かけてとてもきれいだったという思い出があって選曲しました。『虹色の湖』のイントロでは、八丈島の郷土芸能『八丈太鼓』のフレーズも入れたんです。ほかに『どうにもとまらない』（山本リンダ）もカバーしたかったのですが、ベタすぎると言われ却下されましたね（苦笑）」
また、同年にはノイズとハードロックを融合したバンド「非常階段」とのコラボレコーション・アルバム『畑中階段』を発売し、同作からも「非情のライセンス」（野際陽子）が18位となっている。
「このアルバムは、非常階段のJOJO広重さんが、私のオリジナル曲『もっと動いて』を気に入ってくださったことをキッカケに作ることになりました。『非情のライセンス』は、仕事、恋、サスペンスと3つの場面を想定して、熱い感じで歌ってみました」
このように、さまざまな時代にカバーした楽曲が幅広く人気となるのは、まぎれもなく畑中葉子というカバー・アーティストとしてのブランドが確立しているからだろう。何か心がけていることはあるのだろうか。
「私のカバーを好んでもらっているのは、オリジナルのほうに寄せすぎず、それでいて、かけ離れた感じでもなく、自然に聴けるからではないでしょうか。選んだ楽曲は、子どものころから慣れ親しんできて大好きなものが多いんですよ。よく、声“は”変わらないね、と言われますが、声“も”変わらないんです！（笑） もしかすると若い方は、カバーとは知らずに“なんだかいい感じの曲”と思って聴いてくださっているのかもしれませんね。だって聴いていると、本当にいい曲ばかりですもん」
ちなみに、過去にはカセットのみの企画作品として「私はピアノ」「ロックンロール・ウィドウ」「愛の水中花」「まちぶせ」「人形の家」「恋のバカンス」「情熱の花」といった楽曲のカバーも発売されている。これらは'14年に発売されたCD4枚組『後から前からBOX』にボーナス・トラックとして収録されているものの、Spotifyでは '22年11月現在、未配信。こちらも魅力的なカバーばかりなので、解禁され次第、多くの人に支持されることだろう。
続くインタビュー第2弾では、当時のエピソードやオリジナル曲、さらには37年ぶりの新曲「夜雲影（やうんえい）」についても語ってもらった。
（取材・文／人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝）
【PROFILE】
畑中葉子（はたなか・ようこ） ◎1959年、東京・八丈島生まれ。'78年「カナダからの手紙」（恩師・平尾昌晃氏とのデュエット）でビクターよりデビュー。同年の第29回NHK紅白歌合戦に出場したほか、レコード大賞、日本歌謡大賞、FNS音楽祭で特別賞、新人賞などを受賞。その後ソロ歌手に転向し、'80年に「後から前から」を発売、映画『愛の白昼夢』で女優デビュー。子育てによる休業を経て'10年に完全復帰。デビュー40周年の'18年には前年に亡くなった平尾昌晃氏のトリビュートアルバム『ラブ・レター・フロム・ヨーコ』を発売。 '19年のソロデビュー40周年と還暦に向け準備していた企画CDが頓挫し、ブックレット掲載のために用意されていた還暦ヌードがデジタル写真集「後から前から」として発売。'22年には37年ぶりの新曲「夜雲影（やうんえい）」を配信リリースした。
■「夜雲影」（Music Video）→https://youtu.be/oX8dJAZeANY
■「夜雲影」（Short Film）【監督：金子由里奈】→https://youtu.be/T4SbjdYvo_c
◎畑中葉子オフィシャルサイト→https://www.hatanakayoko.com/
◎ビクターエンタテインメント→http://jvcmusic.co.jp/hatanaka/
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