子どもの頃から、わりと音楽好き

──中村さんにとって、音楽とはどういうものですか?

車を運転したり、家事をしているときは、だいたい音楽かラジオか、何らかの音は流していますね。思い返すと、小学校時代の90年代後半とか、お小遣いをもらうとCDを買っていたんですよ。子どもの頃から、わりと音楽好きだったんだなって思いますね。その後もずっと、普通にみんなと同じように学生時代も聴いてました。僕は、すごく歌詞を覚えていますね。大人になって気づいたことなんですけど。“なんで、みんなそんなに歌詞をうろ覚えなの?”って、思うことがよくあったんですよ。

 そういう意味でいうと、小さい頃から、物語だったり歌詞の世界にフォーカスして、音楽ってものに触れていた子だったんだなって。今は、僕が生まれる前の歌とか、懐メロを聴くことが多いですね。最近は井上陽水さんがマイブームで、車で1曲目に『傘がない』をかけたりして、暗いな~って思ったり(笑)。忌野清志郎さんの歌もそうですけど、今も通用する歌詞の世界観だし、hideさんの曲とかもサウンドが全然古くなくて、すごいなと思いますね」

──改めて今の中村さんにとって、舞台はどんな場所なのですか?

「たぶん感覚的には、例えるならホームだとか育った場所だとか、あるんでしょうけど。結局のところ好きでやっているだけなんだなと思うんですよね。好きじゃなかったら、自分の性格上やっていない。あとは、自分の役者としての特性を考えると、舞台は一番合っていると思っているので。

 それと、ドラマや映画の場合、なんか少し寂しいなって思うのは、やっぱり見終わった人の顔を見たいんですよね。それが当たり前で育っているからかもしれないですけど。映像と違って舞台は一枚絵なので、細部にいたるまで立ち姿ひとつとっても、それを観ている人は想像力を働かせるものなので、よりしっかりと役としてそこに立っていないと、すぐバレるという怖さもありますけどね

中村倫也さん 撮影/吉岡竜紀

変わらないというより、今と同じ感覚を昔も持っていた

──今回、久しぶりにインタビューをさせていただいて、正直で誰に対しても態度を変えない人柄は本当に変わらないなと思いました。生き馬の目を抜く芸能界にあって、10代の新人俳優時代の中村さんと人気俳優になられた現在の中村さんの印象が変わらないのは、何か貫いているものがあるのでしょうか?

「アハハハハ。ただ、恥じらいみたいなものはありますよね。ヘンな変わり方をすることへの恥じらい。むずがゆいんだと思います。一番わかりやすいのが、いまだに1万円以上の服を買う時に躊躇(ちゅうちょ)しちゃうんですよ。“買えばいいじゃん”って、自分で思うんですけど(笑)」

──それは、普通の人としての部分を大事にしたいという思いがあるからですか?

「それも性(さが)だと思いますよ(笑)。別にそれを意識しているとか、気をつけているとかでは全くなく、そう思ってしまうんです。

 たぶん10代の頃は、今思うと生意気だし態度もデカいし、年相応じゃない何かがあったと思うんです。もちろん年齢とともに大人になったり、丸くなったり安定したり、いろいろなことがあると思いますけど、モノづくりにおいて考えていることは、今もあんまり変わらないですよね。だから、もどかしさが当時はありました。それが年相応になったのかなという感覚は、30歳を超えてからあります。だから、変わらないというより、今と同じ感覚を昔も持っていたんでしょうね

(取材・文/井ノ口裕子)

中村倫也さん 撮影/吉岡竜紀

《PROFILE》
なかむら・ともや 1986年12月24日、東京都出身。2005年に俳優デビュー以来、数々のドラマ・映画・舞台に出演。近年の出演作として、ドラマ『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(2022年)、ドラマ『仮面ライダーBLACK SUN』(2022年)、映画『ハケンアニメ!』(2022年)など。雑誌『ダ・ヴィンチ』にて「中村倫也のやんごとなき雑炊」連載中。

●作品情報
MUSICAL『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』

ORIGINAL PRODUCTION BY ORCHARD MUSICAL COMPANY
MUSIC BY SOO HYUN HUH
BOOK BY JUNG HWA CHOO

【上演台本・演出】河原雅彦 【訳詞】森 雪之丞
【出演】中村倫也/木下晴香/小暮真一郎/高畑遼大・大廣アンナ(Wキャスト)/福士誠治

※2022年11月30日(水)13:00回の仙台公演・大千穐楽のアーカイブ配信が公演終演後、同日23:59まで視聴できます。ただし21:00以降に視聴開始した場合、全編視聴しきれない場合があります。

●映画館での上映が決定!
MUSICAL『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』が2023年2月24日より、全国11館の映画館で上映されることが決まりました。

劇場公開予告編

●公式HP https://musical-ludwig.jp/
●公式Twitter @mu_Ludwig
●アーカイブ配信 https://musical-ludwig.jp/topics.html

●映画館上映の概要
《日時/劇場》
◎2023年2月24日(金)~3月9日(木)、2週間:新宿ピカデリー
◎2023年2月24日(金)~3月2日(木)、1週間:札幌シネマフロンティア(北海道)、MOVIX仙台(宮城)、MOVIXさいたま(埼玉)、MOVIX清水(静岡)、ミッドランドスクエアシネマ(愛知)、MOVIX京都(京都)、なんばパークスシネマ(大阪)、kino cinema神戸国際(兵庫)、MOVIX倉敷(岡山)、熊本ピカデリー(熊本)
《前売券情報》
◎ムビチケ前売券(カード):数量限定の特製オリジナルカード型(税込み3500円)。2022年12月2日(金)10:30よりTopCoat公式サイト【TopCoat Online Shop通販】(https://topcoatshop.jp/tomoya_nakamura/products)にて先行販売(※)、12月9日(金)より各上映館窓口(一部除く)にて一般発売開始。
※【TopCoat Online Shop通販】での購入は12/15(木)23:59までは特典(特製ステッカー)付き。12/16以降は特典なし、及び数量限定での販売です。
◎ムビチケ前売券(オンライン):デジタル映画前売券(カード型ではありません/税込み3500円)。2022年12月9日(金)よりムビチケ公式サイト(https://mvtk.jp/Film/078993)で発売開始。
(c)MUSICAL『ルードヴィヒ ~Beethoven The Piano~』製作委員会