今後もじんべえさんとともにすぃーっと泳いでほしい
なかまが加わるとともに、ファンも増えていったじんべえさん。そのじんべえさんが色を変え、ファンに衝撃を与えたのが、2022年夏の岩下の新生姜とのコラボだった。
「岩下食品の社長がじんべえさんを好きということと、岩下の新生姜ミュージアムとじんべえさんが同じく7周年を迎えるということもあり、コラボをすることに。岩下の新生姜をイメージして色はピンクに、頭にも岩下の新生姜をつけました。じんべえさんが急にピンク色になったため驚いたファンもいたようですが、喜びの声も多かったですね。
ネットで販売したぬいぐるみもすぐに完売してしまい、反響の大きさに驚きました」
岩下の新生姜色のピンクになったじんべえさんに岩下社長も大喜び。岩下の新生姜ミュージアムでもじんべえさんのグッズを取り扱っており、2022年夏頃にはミュージアムカフェでコラボメニューも登場。かわいくておいしいと大好評だった。このように多くの人から愛されているじんべえさんだが、そんなじんべえさんに一番憧れているのは、作者のタケウチさん自身だと言う。
「細かいことに動揺せずゆったり泳いでいるじんべえさんは、私の憧れでもあります。部屋にアートボードを飾っていますが、にっこりしているじんべえさんは自分がどのようなメンタルのときでも癒してくれる存在。いつかじんべえさんと一緒に、すぃーっと泳ぐことができたら嬉しいです」
これまでに2冊発売された絵本でも、じんべえさんは私たちに寄り添ってくれている。まいごのこくじらをテーマにした1冊目には、まいごのこくじらのおかあさんを探すエピソードを収録。2冊目ではずっとひとりぼっちだったさめさんが、じんべえさんと暮らすことになるエピソードを描いている。絵本の冒頭では、まいごのこくじらもさめさんも、寂しい思いをして暮らしていたのだ。
「日常生活の中で私たちにも困ったことや難しいことが起こりますが、解決してもしなくても時間は流れていきます。絵本ではじんべえさんと出会い優しさに包まれることで、まいごのこくじらたちは寂しさを抱えつつも毎日を楽しく過ごせるようになります。
たとえ悩みが解決しなくても、何かをきっかけに毎日を楽しく過ごすことができたらいいなという思いを込めてストーリーを考えました。じんべえさんのファンは本当に優しい人が多く、久しぶりにSNSを更新しても温かい言葉で迎え入れてくれるんです。その気持ちに今までたくさん助けられてきました。今後もゆったりしたじんべえさんの世界を楽しみつつ、一緒に泳いでもらえたら嬉しいです」
岩下の新生姜とのコラボで、海以外のものともコラボできる新しい可能性を開拓。「新型コロナウイルスの影響で落ちこんでしまった水族館などを、じんべえさんと一緒に盛り上げていくお手伝いが少しでもできたら嬉しいですし、みなさまの毎日が楽しくなるきっかけのひとつとなれたらという気持ちで今後も制作していきたい」とタケウチさんは話していました。どのような世界をじんべえさんと作り上げ見せてくれるのか、楽しみでなりませんね。
(取材・文/酒井明子、編集/福アニー)
【Information】
●『じんべえさん すいーっとのんびりじんべえらいふ』(タケウチユミコ著、主婦と生活社刊)
海の人気者・じんべえさんの優しい世界を描いた絵本第2弾! いつもゆったりごきげんなじんべえさんは、みんなの憩いの場。新しい仲間も加わって、ますますにぎやかな「のんびりらいふ」が広がります。春夏秋冬の4コマ、新しい仲間とのお話、ちょっとじーんとする描き下ろしストーリーなどボリュームも読みごたえもたっぷり。お話にはすべてふりがなつきなので、大人も子どもも楽しめて癒やされる大満足の1冊になっています。プレゼントにもおすすめ☆